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二年目の春・7

「超さん凄いですね。」

食べられる容器に関してはコストはともかく量産も可能だろうと超鈴音は言っていたし、早めに形や数量を決めてくれたら大学部にて自分が作ってもいいと語ってこの日は帰っていた。

木乃香も夕映ものどかも改めて天才超鈴音の実力を感じたのは言うまでもない。

技術や知識だけではない閃きが頼もしくもあり恐ろしくもあるのが本音だが。


「修学旅行の一件で一皮剥けたみたいだからな。高畑先生のおかげだろう」

「でも本当に大丈夫なのですか? どんな理由があるか知りませんが一方的な魔法公開など論外ですよ。」

「大丈夫だと思う。 超さんの行動の根源にあった歴史自体が最早別もんだし。」

横島はそんな超鈴音の現状に明らかに以前とは違う何かを感じていて、修学旅行とその後の高畑の指導が結果として結び付いているのだと感じる。

尤も夕映ばかりかのどかと木乃香も僅かに不安そうで、超鈴音が勢い付けば何をやらかすか分からないと完全に信じることが出来ないでいた。

友人を信じたいと思う反面、歴史を先取りしたんだと語ったハルナの言葉が夕映とのどかには今も深く刻まれていて許していいのかとの疑問も全くない訳ではない。


「あの、超さんの歴史でもひつまぶしを?」

「いやそれはないな。 確か超さんの歴史だと3ーAの出し物はお化け屋敷だったはず。 そもそも去年の麻帆良祭のレストランもなかったことだしな。」

ただのどかが何気なく超鈴音が未来知識から食べられる容器を持ち出したのかと気になりその辺を聞いていたが、彼女の歴史ではお化け屋敷をしたと聞くと三人はやはり驚いてしまう。

まあ超鈴音の歴史に横島が居ないのは聞いたのである意味そのくらいの変化は当たり前だとも思うが、今一つ実感がないというか信じられないものもある。


「こういう言い方するとあれだけど、もう別の世界なんだよ。 平行世界。 パラレルワールド。 大きな歴史的な流れは似たようになるだろうが全く同じ未来にはならないし、時が過ぎれば過ぎるほど解離していくはずだ。」

「では私達も歴史の大きな流れには影響されるのですか?」

「される部分とされない部分があるな。 みんなは俺に近いからさ。 俺の力とかハニワランドの力とかいろいろ特殊な部分もあるんだよ。」

あり得たかもしれない未来を少しだけ知った少女達は世界と歴史の複雑さを改めて思い知らされるが、夕映が自分達と歴史の流れとの関係について聞くと横島は少し悩んだ末に現状の一端を明かしていた。


「まあみんなが自由に将来を選べなくなるようなことはしてないから。 ただその逆は少し遠ざけてはいるけど。」

薄々気付いていたというか超鈴音の件ではっきりしたことは、横島は超鈴音が歴史を変えようとしてる理由もその未来も知っているということと自分達が守られてる立場だと言うことだろう。

今回横島はそれを認めた形となり超鈴音の計画への介入もその一貫なのをほぼ確信していた。


「しかし凄いですね。 完全ではないとはいえ世界の流れに抵抗できるなんて。」

「ほとんど土偶羅のおかげだ。 俺はそこまで細かいこと出来ないしな。」

ちょっと便利で気のいいハニワ兵達が住む世界を魔王の遺産だと考えがちな木乃香達であるが、以前ちらりと横島も語っていた遺産の本質の凄さを改めて理解する。

まあ普段の横島やハニワ兵を見ていると今一つ凄くは見えないのだが。

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