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二年目の春・7

一方この日の夜は木乃香が夕食後に坂本夫妻と弟子の藤井を見送ったあとに再び京都に横島の瞬間移動で里帰りしていて、明日菜は絵を描く時間が欲しがったので横島宅に泊まることにして絵を描いていた。


「なかなか上手いな。」

「横島さん芸術関係ダメなんでしたっけ?」

「写真みたいに写実的にコピーしたみたいに見たものを描くだけなら多分出来るかもしれんが芸術としては無理だな。」

横島も二階に上がると様子を見に明日菜が絵を描いている部屋に来るが、タマモと白いハニワ兵が寝てる姿を描いている明日菜の絵は素直に上手く横島も感心している。

対する明日菜の方は未完成の絵を見られて少し恥かしげにしつつ、ふと横島の絵の実力が気になるようだったが横島は相変わらず芸術は無理だと笑いながら否定していた。


「それって描けるとも言えますよね?」

「そうか? ぶっちゃけ誤魔化して描けと言われるとそれっぽいのは描けるかもしれんが芸術関係って感覚的にさっぱり理解出来ないんだよ。 技術よりはセンスとか感覚的な問題かなぁ。」

「そう言えば誤魔化したりするの上手そうですもんね。」

まあ技術面で不可能かと言われると必ずしもそうでないが元々横島という男は芸術的なセンスや感性に疎く、加えて芸術面は受け継いだ魂の経験にもほぼ皆無なのが致命的だった。

明日菜の方も話を聞いていくうちに確かに横島に芸術的なセンスや感性がないのは思い当たる部分があり、何より興味がないのが一番横島には向かないと思う理由になる。


「あすなちゃん! いっしょにおふろはいろ!」

「ええ。 いいわよ。」

ただまあこの日は横島の自宅に泊まるのも久々なのでタマモが嬉しそうにちょこちょこと明日菜の元に来ては話をしたりするのでなかなか集中出来ないし、今度は一緒にお風呂に入ろうと瞳を輝かせて言われると嫌とは言えなかった。

正直麻帆良祭に間に合うか少し微妙なのだがダメなら異空間アジトに持っていって描けば完成させられるので焦る程ではない。


「良かったな。 タマモ。」

「うん! よこしまもいっしょにはいる?」

「ちょっとタマちゃん!?」

「あー、流石に俺が入ると狭くなるからな。 今日は明日菜ちゃんと入れ。」

なおタマモは当たり前のように明日菜に続いて横島もお風呂に誘うが、そんなタマモの言葉に明日菜は何を想像したのか顔を赤くして慌ててしまうが流石に横島は笑いながらも冷静に断っている。

タマモとしてもさよも横島とは一緒にお風呂に入らないので本当にダメ元で聞いただけだったが、年頃の明日菜としては冗談でもダメ元でも意識してしまうらしい。

まあここで突っ込んだり笑ってくれる人が居るなら横島も悪のりするかもしれないが、生憎タマモと明日菜の三人で悪のりをすればタマモが本気にしてしまうので出来なかった。

ちょっと残念そうにするタマモだが、それでも明日菜と一緒にお風呂に入るのは久々なので嬉しそうに明日菜を浴室に引っ張っていくことになる。



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