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二年目の春・7

翌日わんこひつまぶしは3ーAの少女達の大多数が賛成した。

本当に出来るのかという懸念の声はあったものの、やるならば一か八か挑戦をしたいとの声が多かったのも事実だ。

3ーAのみんなと麻帆良祭をやるのは今年で最後なのだし昨年の快挙を越えることは無理でも、まぐれだったと言われない物にはしたいという想いが強い。

まあ面倒なのよりは出来るだけ楽をしたいという考えの者も一部には居たが声が大きくそれを主張する者は居なかった。


「わんこひつまぶしですか。 これはまた……」

「狙いはいいですね。 麻帆良祭は飲食系の出店や出し物が多いので、がっつり食事をするよりは軽食の方が比較的評価は高いんですよ。」

そして雪広食品の人が昨日に引き続きわんこひつまぶしの詳細を聞きにやって来たが彼らの反応も良かった。

味や料理に賛否出るのは仕方ないが、やはり一人でも多くの人に食べて貰えることこそ肝心で難しいのを彼らは当然理解している。


「実は弊社でもいろいろ検討して本番にて持ち帰り用のひつまぶし弁当を販売してはとのアイデアはあったのですが。」

ただ雪広食品においてもわんこにする前のひつまぶしを一人でも多くの人に食べて貰える案として、ひつまぶしをお弁当にして持ち帰り用として販売してはとの意見が出ていたらしい。

ひつまぶしはその性質上なかなか持ち帰り用にするには厳しいが、雪広グループ系列にはスーパーマッケットで弁当を製造していたりコンビニの弁当を作っている子会社もあるので弁当化出来るだけのノウハウがある。

昨年には横島の実力を知らずに麻帆良カレーの商品化が遅れた経緯があるので、今年は麻帆良祭にて商品を同時販売出来ないかとかなり真剣に検討されていた。


「弁当っすか。」

「ええ駅弁などにある温めることが出来る弁当としてならいいんではないかと。 あと揚げパン用のミニパンも当日販売に向けて検討してます。」

雪広グループも仕事なので商魂逞しくすでに簡単で美味しいのでメニュー採用がほぼ決まっている揚げパンに関しても、揚げる前のパンを自宅で揚げる持ち帰り用として販売する計画があり横島と3ーAの許可があれば当日販売に向けて本格的に動き出すようだった。

やはり昨年の成功の影響で力の入れようが違う雪広グループの人に横島は少し戸惑うも、支援する以上は相応の見返りを求めることが当然だとかつての令子を思い出し懐かしく思う。


「いいアイデアかもしれないっすね。 でも味の方は大丈夫なんっすか?」

「弁当の方は本番のレストランと隣接する弊社の物品販売ブースにて販売する分だけですから。 ほとんど手作りみたいな形になりますからその分だけ味の調整も可能です。」

「わんこひつまぶしにする分だけ手間のかからない物があれば確かにいいっすけどね。 ただ麻帆良カレーみたいに当たるかは分かりませんよ。」

「流石にあそこまでのヒットは弊社の商品でも早々ないですから。」

雪広食品の提案する持ち帰り用のお弁当を別に雪広グループの側で作り販売する案は横島としても悪くないと思っていた。

述べ入場者数が40万人とも言われる麻帆良祭ではお土産物に関しても各方面にてかなり力が入っていて、当然ながら雪広グループも力を入れている。

3ーAの側にも売り上げから利益が入るし、多少なりとも混雑の減少に繋がるなら悪い話ではなかった。

ただ横島としては自分は賛成するが最終決定は3ーAの少女達なので後はみんなに聞いてみるしかないとしか言えないが、雪広グループの側からすると少女達の前に横島を説得しなくてはどうしようもないと考えていたりする。

まあとにもかくにも麻帆良祭の準備は着々と進むことになる。

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