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二年目の春・7

「なるほど、盲点だったな。」

「私達はあまりに効率化ばかり考えていましたわ。」

タマモと茶々丸はハニワ兵とチャチャゼロに試食してもらう為に作ったわんこひつまぶしを持って二階に行ってしまったが、横島達はあれを本番で出来ないかというタマモの行動を元にしたアイデアに感心しながらも実現性について考え始める。

課題はいくつかあり一つはやはり盛り付けが大変になることであるが、器をどうするかや注文を取るレジと厨房の連携なども問題が出そうであった。

しかしここで重要なのは横島を含めたみんなが効率化を最優先で考え過ぎていたことだろう。


「横島さんが悩んでいたインパクトはあるのですよね。」

それに横島が二年目の課題として当初悩んでいた麻帆良カレーに匹敵するインパクトはわんこひつまぶしにはある。

興味を引く料理名だし様々な出店や出し物がある麻帆良祭にてひつまぶしをがっつり食べるのではなく、ちょっと食べてみようと出来るのは悪くないアイデアだった。


「一杯いくらにするの?」

「量にもよるが二百円は確実に切りたいな。 百五十円か可能なら百円か。 超さん達と雪広グループの人達と話し合う必要あるけど。」

「それって凄くない? 牛丼より安いじゃん!」

「わんこひつまぶしですからね。 一杯の量が少ないのですよ。」

値段の目安はやはり元々の五百円でランチとして食べれる量にすることになるが、わんこひつまぶしとはいえ一杯百円台というのは高級なイメージもあるひつまぶしにしては驚きの値段になる。

まあこれは人件費がなく人員が多い麻帆良祭だからこそチャレンジ出来る試みであり、わんこそばより手間がかかるひつまぶしを同じように少量ずつ碗に入れて提供するというのは既存の飲食店ではなかなか難しいことだった。

当然ながら横島の店では逆立ちしても出来ない。

だが考え方を変えれば麻帆良祭でなければ出来ないという意味では麻帆良カレーよりも麻帆良祭向きにも思える。


「他のサイドメニューとの兼ね合いもありますし、明日皆さんに話して考えてみましょうか。」

その後も横島達で話し合うが現状としては不可能ではないが難易度も高くみんなのやる気と盛り付け工程の工夫などが必要ということで、まずはクラスのみんなに意見を聞いてみてから本格的に検討することになる。


「おいしい?」

「オウ、ナカナカダナ。」

「ぽー!」

一方二階ではチャチャゼロと二体のハニワ兵に先程のクラスの試食会では食べられなかった茶々丸が試食をしていたが、チャチャゼロ達にも試作メニューのひつまぶしは好評だった。

茶々丸は相変わらず料理の美味しさに少し大袈裟に感動した様子で食べていて、チャチャゼロとドジなハニワ兵はすでにお酒が入っていたがそれでも美味しそうに食べている。

タマモ自身は相変わらず細かいことはよく分かって無く自分の行動が周囲に多大な影響をもたらしたことなど理解してないものの、みんなが美味しそうに食べてくれるのが一番嬉しいのは変わりなくチャチャゼロ達が美味しそうに食べる姿に満足げであった。



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