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二年目の春・7

「評価は上々だけど決め手はなしか。」

「メニュー開発は試行錯誤の連続ネ。」

一方試食会の方は最後に食べ終えた少女達に意見を聞き解散したのだが、評価は上々なれどこれにしようという決め手がない。

食後店に残ったのはいつものメンバーと超一味で試食会を踏まえて今後のことを話し合うも、どれも料理の出来はいいが今一つこれに決めたという決め手に欠けるのが現状だ。


「タマちゃん何してるの?」

「ちゃちゃぜろとはにわさんにもししょくしてもらうんだよ!」

結局超一味ももう少し考える必要があると帰っていくが木乃香とのどかが後片付けに厨房に入ると、そこではタマモが茶々丸に手伝って貰いながら試食用にと作り余ったひつまぶし各種を小さ目なお茶碗に少しずつ入れている。

この日は珍しくというかちゃっかりエヴァが本来の姿で試食会に参加していたが、チャチャゼロとハニワ兵は流石に参加出来なかったので彼らに余った物だが試食してもらおうとしてるらしい。


「こうして見ると凄いね。」

「わんこそばみたいや。」

「あっ、そうそう。 わんこそば。……?」

何を考えたのか不明だがタマモは茶碗に三分の一もないくらいの少ない量のご飯と具を入れていて薬味やダシを入れるのも別の茶碗に分けたようだった。

従って同じひつまぶしでも薬味があるのとないのとでは違うしダシを入れるのもまた違うので、厨房には大量の茶碗が並んでいる。


「ねえ、これ本番で出来ないかな?」

「これって?」

「わんこそばみたいなひつまぶし。」

その光景は先程までのひつまぶしとは全く違う光景であり新しく感じたのどかは、タマモがやってることを本番やれば面白いのではと閃いていた。


「手間はかかりそうやけど、面白そうや。」

「作業をマニュアル化して簡素化すれば可能かもしれません。 食品製造の工場などでは流れ作業のようにしてますから。」

のどかの閃きは木乃香と茶々丸に衝撃を与えるも、懸念は盛り付けの手間が増えることだろう。

ただ茶々丸は食品製造の工場を参考にしてマニュアル化すれば不可能ではないと考えるし、木乃香もまた試してみる価値はあると喜ぶ。


「どうしたの?」

「タマちゃんのおかげでいいアイデアが浮かんだんや!」

尤ものどかに閃きを与えたタマモは身体が小さいチャチャゼロ達に合わせただけであって特に意識してないことから、急に喜びながら相談し始めた三人を不思議そうに見ていた。


「横島さん! これどうですか!?」

「うん……?」

木乃香はキョトンとするタマモを抱き上げ喜ぶ中、のどかはさっそく横島や他の少女達を呼びタマモが作っていたわんこひつまぶしを見せてこれを本番で出来ないかとの考えを説明すると横島や他の少女達も目を見開き驚いてしまう。

盛り付けや見た目はこれから考えようとしていたが、横島も少女達も昨年の混雑を思うと効率化ばかり考えていた節もある。

タマモのやったわんこひつまぶしはそれに逆行するものであるが、インパクトは十分あるし量や盛り付けを考える必要はあるが多くの人にたくさんの料理を味わってもらうにはこれ以上ない物だった。


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