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二年目の春・7

さて横島の店では超鈴音と五月も訪れて試食会の準備をしていくが、横島は雪広グループに頼んでいた一口サイズの揚げパン用のパンを試食しようとしていた。


「さてこれはどうだ?」

ただ現状では一口サイズと言ってもこれまた試作品のため三種類ほどあり、タマモでも一口で食べれるサイズから大人の男性なんかが頬張ると一口になるサイズまで用意されている。

生地は普通のコッペパンの生地であるが、食べやすさと食べごたえのバランスを考慮してくれたようで参考までにと中身を入れた物もある。


「中のあんが溶けてるわ。」

「美味しいですけどカロリーが気になりますね。」

とりあえず揚げてみて超と五月も交えて試食してみるが意外に評判がいいのは中身入りで、あんやチョコやカスタードなんかはトロリと溶けて熱々なので美味しい。

尤ものどかは早くもカロリーを気にしていたが、お祭りの出し物としては良さげな感じになっていた。


「これ小さくして正解ですね。 手が汚れませんし食べやすいです。」

「揚げパン専門にしても面白いかも知れないネ。」

食べ歩きも想定し紙コップサイズの容器に入れて売ろうと実際に似たような容器に入れてみるが、やはりなんと言っても食べやすさが良かった。

ドーナッツのようにかぶりつくのも捨てがたいが手や口が油でベトベトになるのはやはり女性には気になるらしい。


「去年やり過ぎたしなぁ。 普通に考えりゃあこれくらいのメニューでいいはずなんだが。」

味を変えることでメニューを増やせるし一番簡単で文化祭向きなメニューであるのだが、去年やり過ぎた影響で揚げパンメインにすると明らかにガッカリされるのが分かるだけに横島は何とも言えぬ笑みを浮かべる。

完全に横島の責任とは言えぬし超鈴音もやり過ぎた側なので誰も責めはしないが、今年の大変さを理解する面々なだけにやり過ぎたと語る横島に何とも言えぬ笑いが起きた。


「麻帆良カレーは超包子でも人気ヨ。 最近は中華おこげと合わせた超包子特性麻帆良カレーを新メニューとして出してよく売れてるネ。」

「へ~、美味しそうや。」

そもそも横島自身はあれこれと考えながらもカレーならば嫌いな人はそういないし、祭りにカレーというのもいいかと単純に考えただけなのだが一年後の現在麻帆良の御当地グルメの地位を確実なものにしている。

なお一年前にレシピを渡して独自に麻帆良カレーを売り続けている超包子でも人気メニューの一品らしく、まろやかなスープ状のカレーに微かな中華のテイストを加えた独自の麻帆良カレーがなかなかの人気だ。

更に超包子では冷めても美味しい物にした麻帆良カレー弁当なる物を発売していて、お昼になると学校の購買なんかでも買えたりする人気商品になっていた。


「今年も麻帆良カレーを売ると思ってる人も多いですよ。」

「商売的に考えりゃあそれもありなんだけど、面白くないだろ。 第一麻帆良カレーは今年はあちこちで食えるしな。」

ちなみに3ーAが去年と同じ体制でレストランをすると知れると何故か今年も麻帆良カレーで勝負すると勘違いされていたりする。

昨年と違い知名度もあるし元祖麻帆良カレーの復活としても商売的にはかなり期待できるのだが、少女達も横島もそれはそれで面白くないと考えていて今のところ考えてない。

何より今年も出し物のランキングで上位を狙うには麻帆良カレーだけでは弱いのが大きかった。

麻帆良カレー実行委員会では麻帆良祭にてイベントなんかを企画していて盛り上げようとしてるし、すでに麻帆良カレー自体が3ーAの手を離れて超包子や以前横島が指導した宮脇食堂など提供店がそれなりにある。

それだけ知名度もあるし注目も集まるのだろうが、それが逆に3ーAのレストランが麻帆良カレーに埋没しかねなく去年と同じことをしたのでは確実にランキングは落ちるのが目に見えていた。

まあそれほど順位にこだわっている訳ではないが、やはり期待をいい意味で裏切りたいというのは横島と少女達の共通した認識だった。




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