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二年目の春・7

「クルト・ゲーデルの評価は後世の人間に任せるとして、問題はかの者の計画を私達がどうするかしょう。」

その後一通り意見が出揃うと話は本題へと入るが、問題なのはクルトの計画に対してどう判断してどう対処するかに移る。


「認める訳にはいくまい。」

「でも今回ばかりは情報を流すだけで済むのかな?」

魔法世界の救済は誰もが否定はしないがやはりクルトの計画を認め支援または黙認するべきという者は誰も居なかった。

しかしここで問題なのは事が事だけに下手に動けば魔法世界においては内戦や世界大戦に、地球側においては魔法協会の権利や地位の崩壊まで引き起こし兼ねずに対処が難しいことだろう。

今までは土偶羅が必要な情報を自然な形で流して対処して来たのだが今回は問題の重要性が違っていて、流石に自分達が戦争や魔法協会の崩壊の引き金になるのは嫌なのが本音だ。

クルトの計画と彼自身にはそれだけの変革を起こす危険性があるのが現実であり悩ましい。


「しかしこちらが直接動けぬ以上は誰かに知らせて動いて貰うしかないんじゃないか?」

「クーデターは放置してもいいが魔法の公開は放置出来んしのう。 魔法の公開の方法と隠しきれなくなる可能性は?」

正直なところクーデターに関しては成功する可能性が高くないことで介入の必要性はあまりないが、魔法の公開は方法次第だがやられると厄介になる。


「強制認識魔法が刷り込まれたインターネットによる情報の公開のようだ。 超鈴音の計画と違うのは強制認識魔法が情報自体に強制認識魔法を組み込んだので連中の拡散する情報を見ぬものには効果がないことか。 ただしその画像をテレビなどで流せば効果はすぐに広まるだろう。」

そして魔法の公開に関してはやはり歴史の揺り戻しか超鈴音の計画と似ているもののようだ。

ただし地球規模に強制認識魔法をかけるには麻帆良の世界樹の魔力の大放出となる規模の強大な魔力に加えて、地球上の聖地とリンクするなど条件が厳しく現状のクルト一派には逆立ちしても不可能だった。

一応地球規模の強制認識魔法も検討したらしいが麻帆良を初めとしてそんな場所はたいがい管理者がおりクルト一派なんぞに協力するはずもなく断念したが、彼らはその代わりに見たものを信じる効果がある限定的な強制認識魔法入りの動画を作ることには成功してしまっている。

そもそも魔法に関しては彼らは本場なので超鈴音よりも純粋な魔法技術は高く、強制認識魔法も元々は彼らの魔法なので魔法の公開に強制認識魔法を使おうと考えても不思議はない。

少し話が逸れるが強制認識魔法のような一種の洗脳魔法は一般的には魔法世界でもタブー視されているが、開発したのはメガロメセンブリアであるところが彼らの支配階級が民衆をどう見てるかが分かるものになる。

まあ強制認識魔法の開発自体は地球側にも人権などあってないような過去の時代なので、現在のメガロメセンブリア中枢はあまり関係ない過去の遺物であるという理由もあるが。


「と言うことは一度情報を流すと連中にも止められんのか。」

「それも狙いだろう。 彼はここ最近情報の漏洩で失敗してるからね。」

芦優太郎によるクルト一派の計画の説明に一同はため息混じりに対策を考え始めた。

最早捨て身の計画であり地球を魔法世界の問題に巻き込みたくてたまらないのだ。

例えそれがクルトの手による魔法世界の救済の唯一の方法だとしても地球側からしたらやはり迷惑でしかない。



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