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二年目の春・7

「やっぱ麺類もいいな。」

一方横島は五月による試作品の試食が一通り終わると余っていた肉味噌を用いて参考になればと料理を始めていて、五月は興味津々な様子で何かを学ぼうと見ていた。


「パスタですか?」

「中華風なんちゃってボロネーゼでも作ってみようかと思ってな。」

メニューは中華ではなく何故かイタリアンのパスタで肉味噌にホールトマトを加えて少し味を整えて少し煮込みパスタとからめると完成した。

調理工程もさほど難しくはないが別に麻帆良祭のメニューにする気はないので少し手間はかかっている。


「これも美味しいわね。」

「ほんまや。」

味は中華風肉味噌を生かしながらもきちんとイタリアンに変化していて木乃香達を関心させるが、同時に驚いていたのは五月だろう。

超包子の味が僅かな手間による調理で横島の味に変化したのだから。


「担々麺より手間がかかるからこのパスタは麻帆良祭には向かんが肉味噌をメインにしてもいいかもな。」

日頃から横島の味に慣れてる木乃香達は関心する程度だが、気まぐれで作ったパスタからして横島の料理の腕前の高さを五月は改めて痛感した。

実際五月と超鈴音はお料理研究会のメンバーと肉味噌を作ったので試作したメニューにはパスタもあったが、完成度が今一つ納得がいかずに結局担々麺にしたという経緯もあるのだ。


「じゃあウチはオムライスや。」

そして五月や横島に触発されたのか今度は木乃香が肉味噌を使ったオムライスを作ると言い出して作ると、これまた絶品のオムライスに変化する。

中華風肉味噌を生かす為にとオムライスのご飯をあっさり目のバターライスにしていて、絶妙な火加減の半熟卵のオムライスに肉味噌を使ったソースをかけると中華風肉味噌オムライスが完成した。


「凄いですね。 肉味噌と卵がこんなに合うなんて。」

木乃香の肉味噌オムライスはやはりクラスメートに作らせるには横島のボロネーゼ以上に無理なメニューだが、瞬時に感性と経験だけであっさり作れた実力に五月は昨年の料理大会を思い出してしまう。

決して侮ってはいないし木乃香の実力も理解していたが、こうして目の前で見せられるとあの料理大会の実力は今も健在でより進化していることを改めて見せ付けられている。


「なんか木乃香が別次元の世界に行っちゃいましたね。」

「私には無理だよ。 木乃香って横島さんがやってることと同じこと出来ちゃうんだよね。」

なお次はのどかかとタマモは瞳を輝かせて期待したが、のどかは横島や木乃香と同じことは出来ないと首をぶんぶんと横に振り辞退する。

横島はよく即興の思い付きで料理をするのでいつの間にか木乃香も同じようなことをしてるが、それで美味しく作るのは自分には無理だとのどかは夕映と共に次元の変わった友人の料理を味わいながら自らの力量の違いを実感していた。

ちなみに別にのどかの力量が低い訳ではなく木乃香の応用力や即応力が横島並に高いだけで、いろいろと人間以外の技術や感覚でズルをしてる横島と同じことが出来る木乃香が一番凄いという事実は今のところまだ気付いてないらしい。



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