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二年目の春・7

さて野球の騒ぎから数日が過ぎると暦は六月となっていた。

修学旅行の京都行きと京都での戦い自体がない影響で、本来の歴史である魔族ヘルマンの麻帆良襲撃も起きなく平和なまま五月が終わっている。

明日菜を筆頭にした少女達は本来の歴史とはすでに別の道を歩み始めて居るし、ヘルマンの襲撃自体知るものは横島と土偶羅に近右衛門と超一味くらいだろう。

裏の世界を本来の歴史より早く知ったものの事件に巻き込むような悪手を周りが打つはずもなく少女達は魔法と戦いを結びつけて考えてすら居ない。

ただ魔法関係の知り合いも少しずつ増えているので当初感じていた魔法に対する良くないイメージはだいぶ薄まってはいたが。


「うむ、これなら穂乃香にも出来そうじゃな。」

そんなこの日近右衛門は横島とエヴァが開発した世界樹の告白成就防止の魔法に関してアナスタシアから報告を受けていた。


「もう少し手を加えれば麻帆良を守る守護精霊でも生み出せそうだったがな。 あまり余計なことはしない方がいいだろう?」

「……新しい精霊か。 少し惜しい気もするが厄介事の種になりかねんか。」

実は当初は強制告白成就の効果を緩和または無効化しようと考えていた横島とエヴァだが、途中から世界樹が放出する魔力を役立てられないかと考え始めたらしい。

横島の持つアシュタロス系の知識とエヴァの魔法技術を合わせるともう少しで精霊創造が出来そうになったが、横島とエヴァも途中で新しい精霊なんぞ生み出したら役に立つことは間違いないが確実に厄介事も生まれると気付き断念したようだった。

ちなみに二人が実質考え対策を完成させるまで三日ほど要していたが、夜に酒を飲みながら考え完成させたと聞き近右衛門は何とも言えない顔をする。

今まで魔法協会の優秀な魔法使い達が努力を重ねても出来なかったことが、横島とエヴァならば酒のつまみ程度で出来るのだと改めて理解したからであろう。


「効果は好意があれば自覚する程度に薄めた。 完全に無効化すると世界樹にも良くないからな。」

なお最終的に二人が開発した魔法は世界樹の認識を少し変えることにゆより好意があれば自覚する程度の魔法的な効果はあるが、そこに何かを強制することはないし好意が無ければ意味がない程度の魔法にしていた。

そもそも世界樹は人々の幸せを願い告白成就などをしているので外から完全に阻止するのは良くないと横島とエヴァは考えたらしい。


「横島が言っていたがあの世界樹は子供らしい。 タマモが張り切るようなものなのだろう。」

それと世界樹に関しては横島の世界では神界にある樹を人間界に植えているので少し違うが、まだ樹としては子供なのだと横島はエヴァに語っている。

世界樹としての意志が未熟なため力を持つ二十二年に一度は張り切ってしまってるんだと説明したようで、近右衛門は遥か昔からある世界樹がタマモのような子供なのだと聞き驚きを隠せないようだった。




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