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新しき絆

雪之丞は横島の些細な変化に気がついていた

だが、それでも心配する素振りは見せなかった

中途半端な同情や心配が横島を救えないのを、雪之丞は理解していた

そして横島が求めることを、自分らしく付き合ってやればいい…


雪之丞はそう考えて横島を見ていた

「おう、そりゃ助かるぜ。 正直、1人で修行してもあんまり進まなくてな…」

雪之丞は二つ目のカップ麺を食べつつ、ニヤリとして話した

「雪之丞… お手柔らかにな… 俺は格闘の素人なんだからな…」

横島は少し引きつった顔をして話したが、内心楽しみでもあった


雪之丞は人間では霊的格闘のトッププロだ

今の自分なら、自分が目指す力を見ることが出来る

そして、自分に足りないモノも知ることが出来るだろう


雪之丞は嫌な顔はしても、拒否しない横島に違和感を確信していた…

(やはり… 力を求めてるな…)

雪之丞は心の中でつぶやき横島を見た


横島が元々、優しすぎる性格で戦闘向きでないのは知っていた

そんな横島が自分のワガママの手合わせに付き合うなど、前なら有り得なかった


大切な人を失って、最初に考えるのは強くなることそれは雪之丞も経験したことだった

まして横島の場合は、目の前で失って、力があれば助けられた可能性があるのだから…


そして、横島の優しすぎる性格も心配していた


横島は優しすぎる…
故に自分の中に全て抱え込みすぎる…


雪之丞は自分の考えがある程度当たってる気がした


そして、自分は出来ることをすればいい…

そう決めていた


そうして
横島と雪之丞は夜遅くなってきた頃

手合わせをする為に出かけていた

場所は横島がいつも修行している廃工場だった

横島のアパートから、1時間ほど走って向かう場所


二人はそこに入って向かい合っていた


「お前よくこんな場所知ってるな…」

廃工場の広い空き地を見て雪之丞は話した

「前に近くで除霊があってな… 最近の不景気でここはずっと空き地なんだよ」

横島は準備運動しながら話した

「そうか… で、どうする? 全力でやるか?」

雪之丞はニヤリとして横島に聞いた

「うーん、とりあえずは魔装術抜きで頼むわ… 俺も霊波刀は使わないからさ」

横島は苦笑いしながらも話した

「ああ、わかった。 上がった腕前見せてやるぜ!」
雪之丞は気合いを入れて霊力を高めた


横島も静かに霊力を高める

ここ数ヶ月の修行である程度は自由に霊力を高めることが出来ていた


「ほう… なかなか腕を上げたな… 行くぜ!」

雪之丞は横島の安定した霊力を見て呟いた

そして全力で走って、向かっていく…


横島は雪之丞の霊力とスピードを見て、改めて雪之丞の実力を実感した

「はっ… 早いっ!」

横島は必死によけて、間合いを取りながら雪之丞と戦っていく


だが、奇策や奇抜な戦い方しかしたことの無い横島では、まともに雪之丞の相手をするのは無理だった…


持ち前の動態視力と反射神経で、必死にかわしながら反撃していくが…

雪之丞には通用しなかった


そして戦闘になっても高い霊力を安定して使う雪之丞と

戦闘になれば不安定になる横島では、実力の違いが際立った

15分後

横島は雪之丞の一撃で吹っ飛んでいた

「イテテ… 雪之丞は手加減しないんだもんな…」

横島はやっと起き上がり、笑いながら雪之丞に話した

「当たり前だ。 手加減したらお前には当たらん。」

雪之丞も息を切らしながら話した

「お前は本当に強いな~」

横島は感心して話した

「これが、俺の戦い方だからな… お前も文珠を使えば対抗出来るだろ」

雪之丞は横島を見極めるように話した

「……雪之丞… 文珠に頼ってたらダメなんだよ。」

横島は悲しそうな目をして呟いた

「それで、お前は強くなろうとしてるのか……」

雪之丞は静かに話した

横島は雪之丞の言葉にハッとした表情になった

「別に隠さなくてもいいだろ… 俺だって強くなりたいからな…」

雪之丞は当たり前のように話した

「……俺は……」

横島は言葉に詰まる

「無理して話す必要はないぜ… 俺は強くなりたい。 お前も強くなりたい。 目的が同じならそれでいいだろ」

雪之丞は真剣な表情で話した

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