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その一

「ならばここの警備員をやらんか? 裏の仕事じゃがおぬしなら問題なかろう。」

学園長は横島を見て言った


「ここの巨大な魔法陣を守るためか?」

横島は学園長に聞いた

「まあそれもあるが、ここにはたくさんの一般人もおる。 彼らを守る為にもな…」

学園長はうまく話をそらした

「物は言い様だな… まあいい、 警備員は受けよう。 住む場所も頼む」

横島は学園長に頭を下げた


「今日はホテルを用意するので、明日の午後また来てくれんか?」


「わかりました。」

学園長は横島と話が終わると人を呼んだ

「学園長、失礼します。」

入ってきたのは中学生の生徒だった


「彼女はここの二年の桜咲刹那君じゃ、彼は横島忠夫君、ここの警備員になることになっての。 刹那君悪いがこの辺りを案内してくれんか?」

学園長はお互いを紹介した


「横島だ、すまないがよろしく頼むな。」

横島は柔らかい笑顔で話しかけた


「桜咲刹那です。 よろしくお願いします。」


刹那は目の前の横島が立ち振る舞いから、ただ者ではないと気がついた。


「じゃあ、また明日来てくれ」


そうして
横島と刹那は付近を二人で歩いていた

「横島さんは、魔法使いですか?」

刹那は横島が、何の力があるか気になった

「俺は魔法使いじゃないよ。 似たようなことは出来るけどな ってか敬語とかいらんぞ? あんまり慣れてなくてな」

横島は苦笑いしながら話し続けた


「刹那ちゃんこそ、強いみたいだね~ その年でそこまで強いのはすごいよ」

にこやかに話した


「はい、わかりました。 私はたいしたことありませんよ。 まだまだ未熟です。」

刹那の少し悲しそうに答えた


「刹那ちゃん… 何かを守る為の力がほしいのかな? それならただ力だけを求めてもだめだよ。 それに強すぎる力は更なる災いを生む…」

横島の話と表情に刹那は、のみこまれそうになった
それはさっきまで笑顔だった横島が、明らかに暗く悲しみに満ちた表情だったから……

刹那は横島も自分と同じように何かを抱えていると思った


「横島さんありがとうございます。 肝に銘じて頑張ります。」

刹那は横島に頭を下げた
横島が刹那を思って話したとわかっているから


「余計なお節介だったかな~ まあ困ったことあれば相談してくれ、少しは役にたつからさ」


横島は優しい笑顔で刹那の頭を撫でて話した


そして横島は彼女が半妖だと気がついていた

それはかつて仲間だった人狼や妖弧の少女と重なったのかもしれない……


刹那は横島の暖かい手と優しい笑顔に見入っていた
そして
先ほどの表情とのギャップに戸惑ってもいた


横島は刹那にある程度、案内してもらい別れた



次の日横島は
学園長から戸籍と仕事の正式な書類を受け取り、住む場所も決まった

住む場所は横島の希望で森の付近の一軒家に決まった

それは横島がかつてルシオラ達と一晩暮らした、別荘に似ている家だった


それから
横島は刹那と一緒に組み夜の警備員をしてた


刹那と組ませたのは学園長で裏には何やら思惑もありそうだが……


それから一週間ほどした見回りの夜

横島は見回りの途中で何かを発見した

「刹那ちゃん! あっちに妖気がある。 どうやら下級の妖怪が来たみたいだ」

横島は刹那に話した

「横島さんわかるんですか? 急いで行きましょう!」

刹那の言葉に横島と刹那は走りながら話した

「俺には神眼があるからな、 普段でもある程度見えるよ」
横島の答えに刹那は驚いた

「すごいですね~ なかなか無い能力ですよ!」

横島は苦笑いしながら
「アハハ… 昔の仲間から受け継いだだけだよ」

横島はかつての仲間、覗きの大好きな神様を思い出して、一瞬悲しそうにした


横島と刹那が現場に着くとそこには
20匹近い小さな妖怪がいた

「なんでこんなのがいきなり現れたんだ?」

横島は刹那に聞いた

「わかりませんが、誰かが召還して襲わせたんでしょう。 たまにありますから…」

刹那の答えに横島は顔をしかめ

「不毛な戦いだな… 理性も無さそうだし、可哀想だが倒すか… 刹那ちゃん行くよ!」

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