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その一

横島が現れた場所は、見たこともない巨大な木の下だった

周りの平和な街を見て横島は、ふと昔を思い出していた


(とりあえず強すぎる力を封印しないとな… 今は穏行の術で隠してるが封印した方楽だからな)

横島は神通力を腕輪で
魔力を指輪で
妖力をネックレスで封印した


これにより横島は霊力のみが残った

能力自体は使える為、よほどの事がなければ十分だろう


横島は夜の街を宛もなく歩いて、今夜の寝床を探していた

(平和な街なんて何年ぶりだろうな…)

平和に満ちた街の灯りが眩しかった…


「キャーー!」

突然女の子の悲鳴が聞こえた横島は、急いでその悲鳴の元に向かった


「木乃香大丈夫ですか? あなた達何者ですか!」

そこには二人の女の子がいて、一人は転んで尻餅をつき、もう一人が助けようとして叫んでいた。


女の子の相手は、鬼を二匹従えた術師らしき人


「ハッ!」

横島は霊波砲で鬼の一体を撃った

ドォーン!!

鬼は砕けて消えていった


「誰だ! 邪魔をするのは!!」

術師の男は突然の攻撃に、周りを見回して叫んだ


横島はその隙に女の子を庇うように前にいた


「お嬢ちゃん達、大丈夫か?」

横島は後ろを見ないで話しかけた


「私は大丈夫です。 でも木乃香が足を挫いたみたいで動けません。」

「夕映、私は大丈夫や」

木乃香と呼ばれた女の子は立とうとするが、一人では立てなかった


「ちょっと待ってろよ。 アイツをすぐに倒すから」

横島は女の子達に少し顔を向け微笑んだ

二人はその笑顔に恐怖は消えて安心した…

なぜかは、わからないが大丈夫な気がした


「俺を無視してガキと話してるんじゃねーよ!! 殺すぞ!」

術師はいきなり現れて、邪魔した横島にキレていた


「理由は知らんが、女の子を襲う奴は許せんかっただけだよ」

横島は一瞬念じて神剣を出した

その剣はかつて横島の師の竜神の女性が愛用した剣だった


「火炎招来!!」

術師は、横島に30センチくらいの火の玉を放った!


「狐火!!」

横島も狐火の火の玉を放つ

ブオァーン!!

両方の火がぶつかり爆発した!


横島は女の子に文殊で【結】【界】を張り、鬼に切り込んだ

「ハアアッ!」

ズシャッー!!


鬼は神剣で真っ二つに斬り裂かれた


「クッソー!! ただ者じゃねーな」

術師は霊符を出し次の準備をするが、横島の姿はすでになく、周りをキョロキョロした


パシュッ!!


横島は術師を麻痺させて、術師は倒れた

「ふー 終わった」
横島は敵が居ないのを確認して、女の子の元に行った


「怖かったろ? もう大丈夫だよ。 怪我した箇所はどこだ?」

呆然とする二人に優しく話しかける横島


「あっ 足を挫いたみたいなんや~」

木乃香は挫いた足を見せた

横島がその足に手を当ると、光を放ち足の痛みが治った


「あれ? 足が治った? すごいな~ ありがとさん」

木乃香は驚いた笑顔で、横島に頭を下げた

「今のは何ですか?」

目の前で起きた事があまりに現実離れな為、呆けていた夕映が聞いた


「ちょっとヒーリングしただけだよ。 一応、明日医者に見せてな」

横島は二人に笑顔で話していると…


「君達大丈夫か!」

走ってきたのは中年に近い人だった

「高畑先生! 実はそこに寝ている人と化け物に教われまして、この人に助けてもらいました…」

夕映は高畑に先ほどの事を話した


高畑はその場の状況を見て、横島に頭を下げた

「そうか、うちの生徒が助けてもらったみたいだな… ありがとう」


「高畑先生、うちの足の怪我も治してくれたんよ」

木乃香は笑顔で説明した


「気にしないで下さい。 たまたま近くにいたので助けただけです。 もう大丈夫だね。 じゃあ俺は行くよ。 今度からは夜は気をつけるんだよ」

横島は笑顔で話して立ち去ろとした


「お兄さんの名前と連絡先を教えてくれへんか? ちゃんとお礼をしたいんよ」

横島は木乃香に止められた


「俺は横島忠夫、旅をしているから連絡先は無いよ。 お礼なんて気にしなくていいしな。 対したことじゃないからさ」

横島は苦笑いしながら丁寧に断った
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