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二年目の春・7

一方近右衛門は相変わらず書類と格闘していた。

最高責任者の宿命とも言えるがある程度の仕事を分散を進めても最終報告は上がってくるし、一つ一つ精査しなくてはならないのはあまり変わらない。

取り分け一ヶ月後の麻帆良祭とテオドラの麻帆良訪問に関西との協力関係の問題は近右衛門の手を離れておらず、あまり細かく下の者に指示を出してる訳ではないが性格上手を抜くこともあまり出来ないようである。


「ほう~。 横島君とエヴァがのう。」

そしてこの日近右衛門は刀子から横島がエヴァを巻き込み、世界樹の呪いとも言える告白成就の対策を考えてることを聞かされ驚いていた。

基本的に麻帆良のためとか世界のためなんて考えを持たぬ横島だが、自身や自身と親しい者のためならば意外に動く時があるのは近右衛門にとっては周知の事実になる。

とはいえほとんどは土偶羅に頼んで終わりなだけに自身で動くことには少し驚いてしまったらしい。


「みんな麻帆良祭を楽しみにしてますからね。 つまらぬことに時間を取られたくないのでしょう。 それとお嬢様達が告白されることも警戒してる様子で。」

「みんな仲良くしとるなら結構なことじゃ。 しかし横島君とエヴァが作った魔法があまり難しいと使える者がおるかどうか。」

「それに関しては私の試案ですが、穂乃香様に頼む形を取られては? 西にも協力を頼む予定だったのですから。」

ただ横島がいつになく積極的なのは少女達やタマモが麻帆良祭を楽しみにしてることと、横島自身が周りの少女達が告白されることを気にしてると刀子は見ている。

無論横島ならばすぐに対処してしまうのかもしれないとも思うが刀子も何だかんだと横島との付き合いが一年になるので、横島が少女達に対して執着するというか手放したくないとの想いが増してることに気付いていた。

まああれだけ好意を向けられて居れば誰でもそうなるだろうし、人一倍慎重だった横島もタマモが加わり秘密を打ち明けたりしてるうちに一緒に居るのが当たり前だという状況に持ち込んだ少女達の作戦勝ちだと見ているが。


「穂乃香か? つまり東西協力の一貫にしてしまうと。」

「はい。 どのみち麻帆良でもあれは悩みの種ですから。」

そして刀子は横島とエヴァが開発をする世界樹の告白成就の契約を止める魔法か儀式を穂乃香に頼む形にしてはと近右衛門に提案する。

実は横島とエヴァにもその考えを話して二人には了解を取っているし、同時に魔法の開発者を穂乃香にしてしまえば東西協力と同時に横島とエヴァの存在を隠せると見ていた。

刀子は刀子なりに故郷の関西と横島達とのことを考えた結果である。


「なるほど、適任といえば適任じゃな。 東西協力も次の段階に入るといろいろ細かい問題が出始めとるからのう。 確実な結果が欲しいところじゃ。」

近右衛門は刀子の案に少し考えた後にそれを採用することにした。

東西協力は話し合いから実行の段階に入っていたが深刻とまでは言えぬものの、いろいろ細かな価値観や手法に立場の違いなどが出始めている。

問題なのは東西協力が出来ればした方がいいと思う者はそれなりに居るが、必ずしも必要なのか疑問を感じてる者もかなり居ることであろう。

どのみち麻帆良祭では人手不足なので警備に関西から人員を派遣してもらうつもりで話を進めているので、穂乃香に魔法の件を頼むのは特に問題がなかった。


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