さっそく手分けして魔鈴達は付近を調査して行った

陰の気や悪霊を集めてる原因を探して行くが、特に怪しい物は無い


「外には原因らしき物はありませんでしたね。　突発的に悪霊が住み着いたのでしょうか？」

魔鈴達は情報を交換しながら考え込む

悪霊が理由も無く突然現れることはまずありえないのだが、誰かに付いていた悪霊が突然住み着く場合はよくある

その悪霊が惹かれるものがあれば、その場に留まったりもするのだ

民宿と言う不特定多数の人物が泊まる建物なだけに、有り得ない話ではない


「後は民宿の中を除霊するだけですね。　予想より強い可能性が高いです。　気をつけて行きましょう」

魔鈴は横島と雪之丞に注意を促しつつ表情を見ると、二人共普段とあまり変わらない

横島は多少おちゃらけた表情では無くなったが、緊張感はあまりないようだ


「じゃあ行くか！」

老夫婦から借りた鍵で扉を開けた雪之丞は、中を伺うように入っていく


「うわっ！　悪霊がいっぱいじゃんかよ」

微妙に引き攣った表情の横島が見たのは、まるで客のように部屋をうろつく悪霊であった


「意識は無いな…」

姿も定まって無く意識ある行動も見られない悪霊に、雪之丞は魔装術を展開して悪霊を殴りながら除霊していく


「うらっ！」

乱暴なようだが雪之丞の能力では力ずくで除霊するしか方法が無く、民宿を壊さないように霊波砲は控えてる当たりは気を使ってるらしい


「魔鈴さん、文珠で浄化しますか？」

「いえ、原因が不明なので浄化は避けた方がいいでしょう」

雪之丞が動いたと同時に横島は文珠で一気に浄化するか相談するが、慎重な性格の魔鈴は万が一を考えて通常除霊の方がいいと判断する

この返の判断は性格が現れ、魔鈴は常に細心の注意を払うようだ


文珠による浄化を諦めた横島は、栄光の手を霊波刀にして悪霊を切り裂いていく

雪之丞と連携しながら除霊する横島の姿に、魔鈴は思わず目を奪われてしまう


（強い…　とても見習いの動きじゃないですね）

ＧＳ免許の無い雪之丞や、見習いの横島のあまりの強さに魔鈴は言葉も出ない


思えば魔鈴が横島の単独の除霊を見るのは、先日助けられた以外はこれが初めてであった
　
アシュタロス戦において対究極の魔体の時は少し見たが、あれは令子との同期合体の後だったのだし…


魔鈴が知るのは、おっちょこちょいでお調子者な横島

しかしその姿は周りの人から伝わるイメージが先行した型であり、魔鈴自身が直接見たものではない


（何故みんな横島さんを未熟だと言うの？　一般的ＧＳのレベルは越えてるのに…）

ここに来る途中には除霊の相場も横島は詳しかったし、目の前の除霊する姿も立派なものである

周りの評価とあまりに違う真実の横島に、魔鈴は困惑を隠せなかった


（あの時のような表情では無いけれど…）

魔鈴が思い出すのは先日助けられた時の横島の姿

あの時のように悲しみを持った表情はしてないが、同じように冷静に戦っている



そんな魔鈴が少し驚きで戸惑ってる間に、横島と雪之丞により悪霊は除霊をされていた

依頼書よりは強かった悪霊だが、横島と雪之丞のコンビの前ではあまり変わりは無くあっさり倒されてしまう