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二年目の春・6

「こうやってパーティするの何度目かしらね。」

クラスメート達に連絡してこの日の夕食はのどかの二位とクラスの三位を祝うパーティにすることになるも、明日菜はふと何度目のパーティだろうかと口にする。

明日菜自身はすでに成績が学年でも中位の中で上の方に差し掛かっており昨年のような大幅な成績アップはしてなく、前回と比べると少し伸び悩む教科もあったがトータルではまだ良くなっていた。


「うーん、何度目やろ?」

共にパーティの準備をする木乃香は突然の明日菜の言葉に指折り数えてみるが、すでにすぐに回数が出てこないくらいはパーティをしている。

賑やかに騒ぐのが好きな友人が多いし横島やタマモもまたみんなでパーティをするのが好きだった。


「でもあのメンバーでパーティするのも、あと一年無いんだなって思うと少し寂しいわね。」

中学最後の麻帆良祭が残り一ヶ月ほどとなると明日菜は今まであまり考えなかった別れを少しだけ意識してしまうらしい。

超鈴音の計画もあったしみんながみんな仲良しという訳ではなかったが、それでも昨年の麻帆良祭以降は連帯感というかクラスの仲間だという意識は多かれ少なかれみんなにあるだろうと思うのだろう。

当たり前に毎日顔を会わせて一緒の教室に居たみんなが、来年の今頃は会うことが無くなってるかもしれないと思うと寂しさを感じるようだった。


「いつかみんなで同窓会でもするんやろか。」

一方の木乃香はどちらかと言えばあまり素直に寂しいと言えなかった明日菜が素直に言えるようになったことを喜んでいた。

夕映やのどかに自分やあやか達などみんな変わり成長しているが、木乃香はひょっとすると一番変わったのは明日菜ではと思っている。

テストの成績も上がり高畑との関係も落ち着き、子供嫌いだと言っていたのが嘘のようにタマモを可愛がる姿は一年前では想像も出来なかった。

最近はのどかまで目立っているのでいつの間にか明日菜が一番目立たなくなりつつあるが、木乃香は明日菜にもいつか自分達のようにスポットライトが当たるだろうと見ている。


「木乃香。 やっぱり超さんのこと気にしてる?」

「みんなが思うほど気にしてへんよ。 でもウチは超リンを横島さんやみんなとの家族に加えたいとは思えへんわ。」

最後の麻帆良祭を前にそれぞれに麻帆良祭とその先の未来を思う明日菜と木乃香だが、明日菜はふと気になっていた超鈴音のことを木乃香に問いかけていた。

木乃香の家族をぶち壊す計画を立てていたことは横島どころか高畑でさえ否定してないので明らかであり、明日菜のみならず周囲は超鈴音よりも木乃香を心配している。

同じことをされて笑っていられる人間がどれだけ居るだろうかと思えば当然であり、あやかでさえ超達にクラスメート以上に手を差し伸べないのは木乃香を思ってのことでもあった。


「……木乃香。」

木乃香自身も超鈴音が我欲の為に何か計画しようとしたとは思ってないが、やはり祖父や父や多くの魔法関係者の努力をぶち壊しにして家庭を壊されそうになったことを忘れてもいない。

近右衛門や横島も居るし不安に感じてはいないが、自分達のタマモが家族と呼ぶテリトリーには入れたくないというのが親友の明日菜だからこそ明かしたせめてもの反発なのだろう。

明日菜は自分が木乃香の立場に立たされたと考えると、そこまで冷静に許せる気がしなく木乃香の忍耐強さと優しさを改めて感じていた。


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