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二年目の春・6

その後この日の食後には一足遅く店を訪れた刀子が夕食を食べる中、店を閉めた店内にて少女達は魔法の練習をしていた。

最近魔法の存在を知ったまき絵と亜子以外は次のステップへと進んでいて初歩の治癒魔法と気の使い方を習い始めているが成果らしい成果は当然なく、まき絵と亜子の方も基本魔法の火を灯す魔法の練習を始めたがこちらもまた成果はさっぱりない。


「いつ魔法使えるようになるの?」

「うーん、まだまだ先かな。」

当初は魔法使えるようになると聞き喜び勇んで魔法の練習を始めたまき絵と亜子だが、基本的に成果が見えぬ魔法の練習はあまりはかどらない。

魔法の練習の先輩と言える少女達が多いことから自分達も出来ると思えるところはプラスであるものの、ゲームのように経験値でも見えれば別だが現状では気長に練習をしなくてはならないのであまり集中力が続かないところがある。


「ねえ、マスターとか先生はゲームのレベルとかあるとすると、どのくらいでみんなはレベルどのくらいなの?」

「難しいこと聞くなぁ。」

ちなみに弟がいるまき絵はテレビゲームを思い出したのか例えにレベルなんてものを持ち出すが、何人かの少女達はイマイチ理解できないらしく首を傾げているし横島も例えが難しいなと苦笑いを浮かべた。


「うむ、そうだな。 貴様がレベル1だとすれば他はレベル3だな。 タカミチと葛葉刀子はレベル60から70といったところか。 私はラスボスで横島は裏ボスだな。」

「アナスタシアさんとマスター凄いじゃん!」

しかしまき絵の問いかけに割とアッサリと答えを出したのは酒を飲みながら魔法の練習をする少女達を眺めていたアナスタシアだった。

まあ数値自体は大雑把なものだろうがまき絵には分かりやすかったらしく、今一つ凄さを理解してなかった横島とアナスタシアが凄いのをようやく理解したらしい。


「随分詳しいな。 テレビゲームなんかやるのか?」

「十年以上中学生をやらされたんだ。 暇潰しにゲームの一つや二つやったわ。」

まさかアナスタシアがゲームを知ってるとはと驚く者が何人も居る中、横島が理由を尋ねると少し不機嫌そうに答える。

魔王様がゲームで魔王を倒していたのかと少しシュールな光景を思い浮かべる少女達であるが、刀子だけは密かに冷や汗を流していた。

少女達はほとんどが実感を持ってないがアナスタシアことエヴァンジェリンの恐ろしさを、刀子は話として聞いた程度ではあるものの実感を持って理解してるのだ。

魔法世界では泣く子も黙るとナマハゲのような扱いをすることもあるが、伝説になるほどの強さを持ち敵対した者を葬りさってきている。

もし彼女があのまま結界に封じられたまま憎しみを積み重ねていたら。

そう考えると素直に笑えなかった。


「今度みんなでゲームでもするか。 女の子でも楽しめるゲームあったはずだぞ。」

「いい度胸だ。 ゲームで私に勝てるつもりか?」

「俺も結構得意だぞ? 妙神山のゲーム猿に鍛えられた腕前みせてやる。」

一方横島とアナスタシアは何故かゲーム勝負をする流れとなるも、途中何気なく横島が口にした妙神山のゲーム猿とは一体何なんだと少女達は疑問を持つことになる。

まあ刀子なんかは二人の姿に平和だなとしみじみと感じていたが。
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