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二年目の春・6

そして数日が過ぎると魔法協会では早くもテオドラの訪日の件を内々に決定して、関西呪術協会と日本政府との交渉を始めていたが中等部と高等部では定期テストの日がやってくる。

どんよりとした曇り空のこの日は流石の麻帆良生も幾分ピリピリとした空気の中でのテストとなっていた。

麻帆良学園では進級や進学に必ずしも必要な成績やテストがある訳ではない、いわゆるエスカレーター式の学校なので他の中学高校よりは定期テストの重要度は落ちるものの学力を計るバロメーターの一つであることに変わりはない。


「まき絵どう?」

「いつもよりは出来たよ! とりあえず空欄は埋めた! 明日菜は?」

「普通かしらね。 ここ最近と変わらないくらいは出来たと思うわ。」

一教科毎に一喜一憂する生徒達の中にはかつてバカレンジャーと呼ばれていた少女達も居るものの、すでに明日菜は過去の物としているし今回はまき絵も今までよりは自信があるらしい。


「あれもあれでありなのかしらね?」

「どういう意味?」

「まき絵はマスターに勉強を教わりたいだけなんだもん。 それで成績上がるってどうなんだろうって。」

かつては明日菜が変わりのどかも変わったことが今はまき絵に起こり始めているが、その根元にあるのは意外に違っていてまき絵は明日菜やのどかほど紳士に勉強に取り組んではいない。

新体操の選抜テストの時にまき絵は教わる楽しさを知ったという事実もあるが、結局は好きな人に教わるのが嬉しいだけでしかないのだ。

友人である裕奈とあきらはそんなまき絵の変化の理由を理解する故に、ちょっぴり羨ましいようなズルいような気持ちが無いわけではないのかもしれない。

ただまあテストに関して言えばどんな形であれ結果が全てであり、成績次第ではお小遣いが減らされたり逆にご褒美があるなんて話はよく聞く話になる。

勉強をさせる為に何か他のエサを与えることは批判的な意見も多いし、まき絵の場合はマスターが手を貸さなくなれば成績は落ちるだろうが少なくとも勉強に興味が全くないようなまき絵が勉強をするようになったことはプラスだろう。

横島とその周囲を固める少女達の仲間入りを果たしたまき絵に対しては客観的に見て大丈夫なのかと不安がない訳でもない。

彼氏には出来ないんじゃないかと思うし、まき絵の本気度を見ればいつか傷付くのではと心配にもなる。

しかし不思議なのは周囲を固めるのは男女関係に真面目な人間が少なくないことか。

特にあやかや千鶴はお嬢様育ちで女にだらしない男と付き合えるタイプには見えないが、肝心の横島は両家に気に入られて家族ぐるみで交流している。

無論横島が女にだらしないとまでは裕奈達も思ってないが一人に絞れないのはあまり評価してない。

これで横島が自分達とは全く関係ないアナスタシアなんかと復縁したらまき絵達はどうなるんだと思わなくもないのだ。

結局本人達が納得して幸せそうならとりあえずはいいかと見守っている裕奈達であるが、今はまき絵のことよりは自分のテストかと次のテストまでの僅かな時間を勉強することになる。

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