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二年目の春・6

「うわぁ~。」

その日の放課後になると超鈴音は横島の店に行き横島とタマモにも立体映像のサンプルを見せていた。

流石に他の常連には秘密にしたいので普段使わない大きい個室にて立体映像を見ることになるが、タマモは突然現れた海の中の景色に喜びと言うよりは驚きの表情を見せる。


「これあれだな。 潮の香りとか一緒に設置するとリアリティが出るな。」

「それはいい考えネ。 検討してみるヨ。」

タマモにとってはもしかすると魔法より不思議なことなのかも知れなく、自分の周りを泳ぐような魚に手を振れたりクンクンと匂いを嗅いだりしていた。

横島はタマモの匂いを嗅ぐ仕草から立体映像に匂いを一緒に設置することを提案して超は検討することを約束する。

竜宮城のサンプルについてはタマモは好きなサンプルを指定したが横島はそれほど拘りはないようで少女達に任せるというスタンスを取っていた。


「揚げパンですか。」

「そうなんや。 どうやろ?」

一方厨房には五月が来ていて麻帆良祭のメニューについて木乃香とのどかと話していた。

五月も超と幾つか試作してみたりしたものの、中華だとやはり手軽で美味しい肉まんを越えるものはなかなか生まれないらしい。

横島達も現状では一口サイズの揚げパンはいいのではという話になっていたが、昨年の麻帆良カレーのようなメインではなくポテトのように軽く摘まめるサイドメニュー的な扱いになる。


「いいと思いますよ。 簡単ですし味付けもいろいろ出来ますし。」

なお小さな一口サイズのパンについては現状では雪広グループの商品で中にクリームやあんが入ったものなどがあり、それの製造ラインで作れるか検討してくれていた。

正直少し面倒な相談だったのだろうが昨年の麻帆良祭の成功もあるし、麻帆良カレーなどで横島達が協力していたこともあって雪広グループ側も少し無理承知で検討してくれるらしい。


「揚げるならカレーパンのように中身がある大きな物も検討してはどうかな?」

「そうやな。 そう言えば麻帆良カレーのカレーパン去年試作だけして終わったのあったわ。 他にも考えてみる価値あるな。」

「私たちも少し揚げ物で検討してみます。」

メニューに関してはやはり大量生産を意識するとあまり凝った調理は難しいものの、業務用のフライヤーが使えるならば揚げ物のバリエーションは増やしても問題ない。

少しカロリが気にならないでもないが、お祭りということを考えればあまり気にしなくてもいいのではと話が進む。

メインに関しては昨年の経験からやはり肉料理は外せないのは明らかであり、出来れば肉々しいような料理が一品は欲しいということになる。

ともかく気になったら試作品を作り試してみるしかなく、今はテスト前で横島も忙しいので無理だがテストが終わり次第麻帆良祭のメニュー開発が本格化することになる。



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