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二年目の春・6

さて翌日の日曜を過ぎて月曜になると新たな一週間が始まるが、今週はテスト前ということもあり部活が休みとなるので放課後の店は例によってテスト勉強をする女子中高生で賑わう。


「明日菜ちゃんはもう大丈夫なんだがなぁ。 今度はまき絵ちゃんか。」

昨年の同じ一学期の中間テストから始めた明日菜への指導はもうほとんど横島が教えなくても大丈夫となっていて、時折教えるだけで良くなっていた。

相変わらずのどかには教わっているが、それも徐々に自分だけの勉強で分かるようになっているのは大きな成長だろう。

そしてそんな明日菜に教えてるのどかも相変わらず学年でトップテンを維持していて安定感があり、勉強嫌いな夕映があまり成績がよくないもののそんな夕映ですら一部の教科などでは成績が上がっている。

木乃香に関しては相変わらず上位のままよくも悪くも変化がなく、こちらは要領と物覚えの良さから成績はいいが夕映と同様に勉強自体にあまりに興味がないらしい。


「えへへ。」

そんな横島の新たな難敵は成績を全く気にしないまき絵であった。

この日も危機感もなく赤点回避したいと横島に笑顔で頼るまき絵のあまりにも清々しい笑顔に横島は困ったようにため息をつく。

横島自身もどちらかと言えばまき絵と同じタイプで最悪補習でいいやと考えたので気持ちがよくわかるが、まき絵は横島やみんなと一緒になんとなく勉強しようと思っただけなので危機感なんか皆無なのだ。


「まあ、ぼちぼちやるか。」

ただこうして店で勉強を教えるようになり一年が過ぎたからか、店内では相互に教え合うことが当たり前になりつつあり横島の負担は意外に少ない。

それに麻帆良の番長こと豪徳寺薫は律儀にテスト前には店に訪れてはテスト勉強をする少女達や友人の格闘仲間に率先して教えていて助かっている。


「なんていうか頭のいい番長って言うのも、ヤンキー泣かせよね。」

「中途半端な不良なんて喧嘩でも勉強でも勝てないってリアルは漫画より残酷よね。」

すっかり番長というアダ名が知れ渡っている豪徳寺だが、喧嘩が強くて勉強も出来るとなるとやはり女子から人気はあるようで横島のせいで男性の立場が微妙に低い店でからかい半分ながら結構モテている。

ちなみに男子学生の反応はあの男何者なんだという奴から畏怖されていたりもするが、一番苦々しく思ってるのは麻帆良にも存在するヤンキー達であろう。

豪徳寺はヤンキー達を全く相手にしてないが喧嘩はもちろん勉強まで勝てないとなると他のヤンキーの威厳は全くなく麻帆良学園内での立場は低い。

彼らは豪徳寺をエセヤンキーと呼んだりしているが元々麻帆良学園では生徒による自浄努力が高いのと、自由な校風のせいでヤンキー自体がほとんどいないので昔から誰にも相手にされてなく肩身の狭い思いをしてるが。

それと高等部などでは外部から進学してきた者の中には麻帆良を締めてやると意気込むヤンキーが時々居たりするが、先生から生徒までヤンキーに厳しい麻帆良学園では逆に退学に追い込まれることも珍しくはなかった。




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