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二年目の春・6

「本当アルか!?」

「まあ君達が望むならね。 僕には技術的なことはあまり教えられないが先人として君達の道しるべくらいにはなれると思う。」

一方この日高畑は古菲と豪徳寺達に対して正式に魔法協会に加わり自身の教え子にならないかと声をかけていた。

去年の夏祭り以降に彼女達には徐々に魔法や気などの裏の力や魔法協会の存在などを明かしていて、すでにその実力は一般的な魔法使いを大きく凌いでいる。

今のところ特に大きな問題はないが以前刀子が懸念した通り彼女達には確かな指導者が必要な頃であるし、魔法協会としても取り込みたいという思惑がない訳ではない。

中途半端な実力者は使い道に困るが、彼女達ほど徹底していればそれなりに仕事はあるし関東も妖魔退治など全くしてない訳ではないので彼女達が望む実戦も機会を与えられるはずなのだ。


「俺達には願ってもない話だな。」

「今までみたいにあまり表の世界で活躍は出来なくなるが強くなることは出来ると思う。 学園内の格闘技大会くらいなら出てもいいけど将来的にプロの格闘技で生きていきたいなら、そろそろ裏から離れて元の生活に戻った方がいい。」

ただここで彼らに確認せねばならないのは、格闘技やスポーツ選手として表の世界で華々しく活躍するにはこれ以上は裏に関わらない方がいいということだった。

多少力の使い方を覚えた程度の今ならまだ力を隠して表の世界で生きていけるが、現状以上の力を付けると少なくとも格闘技などで表の世界で生きていくには一般人との力の差が開きすぎて難しくなる。


「実戦も経験出来るんですか?」

「ああ、出来ると思う。 そっちの仕事もあるし魔法関係者のみの格闘大会なんかもやってたりする。 ただやはり裏に関わる以上秘密は守って貰わねばならないんだ。」

古菲はあまり深く考えないので高畑に師事できることを素直に喜んでいるも、豪徳寺達はそれぞれに利点と欠点を聞き考えていた。

彼らの場合は古菲よりも年上であり、高校卒業と共に格闘家になりたいと考えていた者も居るようで将来的なことも含めて考えねばならない。


「魔法協会に加わるなら大学に進学することを勧めるよ。 君達の実力ならば大学卒業後に学園の職員として働くことも不可能じゃない。」

この話は即答出来る問題ではなく古菲は高畑に師事したいと即決したが後は少し考えたいと返答を保留する。

魔法関係者でも随一の実力がある高畑は魔法協会員にも指導して欲しい者は多く、強さの高みを目指すならばこれほどいい話はないが本格的に裏で生きていくのか表の世界に戻るのかは流石に迷うらしい。

ちなみに外国国籍を持つ人が留学などの短期滞在以外で魔法協会に関わるまたは加わるにはかなり厳しい審査があり、一部の日本と国交がない国や関東魔法協会と絶縁または交流が全くない魔法協会の国の人間は基本的に受け入れてない。

例を上げるとすれば某南北に分かれてる半島国家などは、北は元々交流が一切なく南は二十年前の関東魔法協会独立時に絶縁して以降人材の交流を含めて一切の交流がないままである。

古菲の母国である中国も審査はかなり厳しいものの、現在も関東魔法協会と交流がある中国国内の数少ない魔法協会である香港魔法協会がある香港出身であることや政治的な要素が全くない古菲にはあまり関係のないことだった。

少し話は逸れたが結局古菲と豪徳寺達について魔法協会は可能ならば取り込むことにしたらしい。



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