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二年目の春・6

「親父さん達が先じゃなくていいんか?」

「うちと千鶴さんのとこは後でで構いませんわ。」

さて午後になると横島はあやかと二人で納涼祭のスポンサー企業と会うことになっていた。

以前に説明した通り納涼祭に世界樹通り商店街の麻帆良祭参加について事後承諾の形となるが、説明する為にスポンサー企業を回らねばならない。

メインの芦コーポレーションを筆頭に雪広と那波が中核で他に学園の支援企業が少額ながら入っているものの、芦コーポレーションと雪広と那波はほとんど身内なのであやかと千鶴による根回しが終わっていて、後で時間がある時にでも形ばかりの顔を出せばいいことにしたが他は正式発表の前に挨拶と説明はしなくてらならない。

まあ雪広や那波との付き合いや将来性から参加した企業がほとんどなので祭りの内容にまで口を出す企業はないが、手続きとして発表前の説明は当然必要であるし書類やメールや電話で済ます訳にもいかなかった。

もちろんアポを取る段階にて簡単な説明はしたが直接会い話をすることになっている。


「先方の顔と名前は大丈夫ですか?」

「それだけはバッチリだな。 一度会った人は気配とかで分かる。」

ただまあ正直なところ納涼祭の説明だけならば横島が顔を出す必要は必ずしもないと言えばないのだが、こういう機会に顔を出して繋がりを作っておくのが横島の為であり引いては今後も横島と深く関わる木乃香やあやか達の為でもあった。

有名なことから女性関係に少し悪い噂があることで必ずしもいい印象だけの人ばかりではないし、顔の見える相手と見えない相手ではやはり前者の方がいいのは言うまでもなく立場的にもそれなりの付き合いは必要になる。


「どうも、ご無沙汰してます。」

「さあどうぞ、楽になさってください。 それにしても随分大きなところが名乗りをあげましたな。」

横島とあやかはこの日アポが取れた会社や経営者個人のところを訪れていくが、力関係はやはりあやかが上なので扱いはかなりよく先方も気を使っていた。

しかも基本的に支援企業のパーティや集まりに参加しない横島が顔を見せるとやはり喜ぶようで、和やかな雰囲気の中での話となる。


「こっちもビックリしてますよ。」

「あそこの商店街も昔ほど勢いがありませんからな。 必死なのでしょう。 商工会などはプライドの高い人も居るので気を付けた方がいいですよ。」

説明自体は一通り経緯や今後のことを話して問題なく進むが意外に為になるというかいい話が聞けることもあった。

納涼祭自体は横島が主催者だが横島の後見的な立場に雪広家が居る以上問題になるとは誰も思わないが、扱いが面倒な人は何処にでもいる。

悪口にならない程度のアドバイスなり助言をして横島やあやかと関係を深めたいと考える人は少なくなかった。


「このままドライブでも行っちまうか?」

「あと二件ですから付き合って下さい。」

なお横島はすぐに飽きたというか面倒になり始めたようで移動中には遊びに行こうかと冗談半分でいい始めてしまうも、あやかがなんとか横島を挨拶回りに最後まで連れていくように苦労することになる。


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