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二年目の春・6

竜宮城の話題で盛り上がる船内だがクジラの群れが見えてくるとその光景に目を奪われる。

海の中を雄大に泳ぐクジラの群れはいつ見ても素晴らしいものがあるし、ましてその群れの中へ入り込むと四方をクジラに囲まれるため迫力が凄まじい。

自分がクジラになったような体験は異空間アジトの中でしか出来ぬものであり二度目の少女達をも感動させていた。


「ねえ、今ちょっと思ったんだけどこの光景って去年みたいな立体映像で再現出来ないかな? ほら麻帆良祭の出し物に竜宮城なんてのはどう?」

まき絵と亜子も言葉を失うほど驚き感動していたが、そんな時ふと明日菜は何を思ったのか今年の麻帆良祭にこれは使えるのではないかと思い付く。

料理に関してはあまり役に立てない明日菜であるが彼女は彼女なりに麻帆良祭のことをずっと考えていたということもあり、今年のコンセプトは海でどうかと考えたらしい。


「あら、いいアイデアですわね。」

「それ面白そう! 私達も竜宮城を作るなんて!」

「ほんなら料理は海鮮系になるん?」

「メインを海鮮にすれば後は自由でいいと思うよ。」

環境を変えた効果と言っていいか微妙であるが明日菜の思い付きは少女達にも好評で、今年も料理とアトラクションを融合させるならば海をテーマにするのは悪いことではない。

明日菜にしてもハニワ兵達が竜宮城を作る話題で盛り上がっていたので、ならば自分達も作ってみてはと思い付いただけだが。


「この海の中って立体映像で再現出来るの?」

「問題は一ヶ月で出来るかだ。 俺かハニワ兵が作れば出来なくもないが普通に考えて一ヶ月で一から作るのは難しいぞ。 工学部辺りに使えるデータあれば別だが。 立体映像は超さん次第だろうな。」

一つの提案として竜宮城は悪くないが後の問題は準備が間に合うかであり、立体映像は超鈴音の発明なので横島が手を出して目立つのは得策ではない。

昨年のように工学部かどっかで開発中のデータがあれば流用出来るのだろうが、それは横島にはなんとも言えなかった。

しかしまあ立体映像の良さを生かすには普段見ることが出来ないような光景がいいのも確かで、海の中というコンセプトに合うものは可能ではと思うが。


「凄いけど魔法ってより宇宙人とか未来人みたいだね。」

「ほんまや。」

そのまま麻帆良祭の出し物について話ながらクジラの群れの中の光景を楽しんでいく少女達の話はトントン拍子に進んでいくが、ホエール君がクジラの群れから離れると少し名残惜しそうにみんなでクジラの群れを見送っていた。

群れが見えなくなると海上に浮上して港に戻るのだが、まき絵と亜子の観想からは魔法というより宇宙人か未来人みたいという至極当たり前の感想が出ている。

少女達は未来人は別に居るんだけどねと二人の感想に思うが、超鈴音の素性に関してはややこしくなるのでまだ話してない。

現状では異空間アジトが特別なのを理解してくれればそれでよかった。


「さーてと、マスターには乙姫様から玉手箱をあげないとね。」

「要らんわ。 ってか俺は人じゃないから年取らんぞ。」

なお横島は帰りの船内でも適当な理由を付けられて乙姫様は自分達だからと主張する美砂や桜子やまき絵やタマモに抱き付かれてしまい、嬉しいような困ったような表情をして他の少女達を笑わせていた。


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