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二年目の春・6

さて何だかんだと賑やかな少女達であるが、観光船であるホエール君三号の出港時間になると同じく観光に来た多くのハニワ兵達と共にホエール君三号に乗り込み出港する。

遊覧コースはクジラの群れを探して紛れ込む関係から毎回異なり今回は前回少女達が乗った時より沖に出ていく。


「やっぱり海風が気持ちいいね。」

クジラの群れを見つけるまでは天井を開けた状態で海上を進むのでクルージングのように気持ちよく、季節的にも前回より心地いい感じだ。

少女達は修学旅行でもクルージングを楽しんだが、それと比べても遜色なく楽しめているようである。


「お楽しみはここからだよ。」

「え? しっ、沈んでる!? 沈んでるよ!」

「潜水艇って言ったじゃん。 潜るのよこれ。」

ただ事前の説明をきちんと聞いてなかったのかホエール君が潜航をするとの船内アナウンスの後に潜航を開始すると、まき絵はホエール君が沈むと誤解したようで慌ててしまい少女達ばかりか周りのハニワ兵にまで爆笑されていたが。

しかしまあ少女達も前回始めて乗った時は驚いたので似たようなものであるし、ハニワ兵達も始めて乗ると大抵驚くらしい。


「うわ~、綺麗や。」

異空間アジトの海の中は環境破壊もなく人の手も入ってない自然のままで南国らしい魚や珊瑚が豊富にあり、ホエール君から見る光景はそこが現実なのかはたまた魔法か何かで作り出されたのか分からぬほど素晴らしいものだった。


「なんか竜宮城にでも行くみたい!」

「ぽー?」

「ぽー!?」

「ぽー!!」

思わず見惚れる景色とでも言うのだろうが、まき絵は何を思ったのか竜宮城に行く浦島太郎のようだと口にして友人達やハニワ兵達を笑わせるが中には衝撃を受けたような表情をするハニワが何人か居る。


「ハニワさんどうしたん?」

「どうも竜宮城って言ったのが衝撃だったらしい。 ハニワランドには竜宮城がないから作らなきゃって言い出してる。」

そのハニワ兵達はまき絵の言葉に衝撃を受けて何かをを相談するようにぽーぽーと話を始めると、少女達は何事かと横島に通訳を求めるが一部のハニワ兵達は異空間アジトに竜宮城がないことに気付きショックを受けていたらしい。

是非竜宮城を作らねばとさっそく相談をする姿は客観的に見て不思議なものがあるが、ハニワ兵達はこのノリとテンションで異空間アジト内にあちこちに街やら歴史的な建造物やらを再現した実績がある。

横島の元世界にも竜宮城はあったのでハニワ兵達はそれを参考に作ろうと、何故か周りのハニワ兵達ばかりか少女達をも巻き込んで盛り上がり始めた。


「私、乙姫やりたーい!」

「わたしもやりたい!」

「ぽー!」

ちなみにまき絵とタマモは竜宮城を作るなら乙姫をやりたいと言い出してしまうが、ハニワ兵達にもいいよ任せてと言われてしまい本人達はやる気になっている。


「竜宮城作るのはいいが時間の流れをおとぎ話並みに変えるとややこしくなるなぁ。」

「気にするところはそこなんですか?」

「あとは別に問題ないな。 俺としては美人でサービス満点で地雷女じゃない乙姫様が居る竜宮城がいいな。」

そのままクジラの群れに接近するホエール君の中では竜宮城の話題で盛り上がるが、やけに乙姫に注文が多い横島に少女達へ首を傾げるも流石に竜宮城に行ったことがあるとは思いもしないらしい。

そしてまた懲りずに自分達の前で他の女の話をする横島には美砂や桜子から制裁として抱きつかれるという甘い地獄がもたらされることになる。



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