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二年目の春・6

「うわ~、本当にクジラじゃん!」

「これ乗り物なん?」

その後は前回と同じく散歩しながら潜水艇乗り場に行くが、港に接岸されているホエール君三号のリアルさと迫力にまき絵と亜子は驚きの声をあげる。

ホエール君三号はザトウクジラを模していて全長が十メートルほどあるが、日本の水族館でこのサイズのクジラが見れるところなどあるはずもなくまき絵と亜子が驚くのも無理はない。


「姉さん、クジラです。」

「生命体反応がありません。 精巧な模造だと断定します。」

「表面材質及び動力源不明。 原因はセンサーの不足だと断定します。 つきましてはセンサーのバージョンアップを要求します。」

一方騒ぎはしないが興味津々なのは今回初めての初音と鈴江も同じらしく、彼女達の場合は自身のセンサーで解析したりしているものの彼女達のセンサーは超鈴音製なので魔法科学で作られたホエール君の解析が出来ずにガッカリした様子でさっそく横島に対してセンサーの追加を要求していく。


「センサーの追加? 別に解析せんでもいいんだが。」

「お父さんが冷たいです。」

しかし横島としては別に解析しなくてもいいので初音と鈴江の要求を少しばかり渋るが、初音はあからさまにショックを受けたと言わんばかりにガーンと効果音でも聞こえてきそうな勢いで更に落ち込んでしまい、ついでと言わんばかりに横島をお父さんと呼んで抗議の姿勢を示す。


「ちょ、ちょっと!? 」

「お父さん!?」

「どういうことよ!」

ただ横島をお父さんと呼ぶ初音と鈴江にはやはり少女達が驚き過剰反応してしまい、流石に気になるのか横島を問い詰めるように迫り事情を聞き出そうとする。


「いや、俺が呼ばせてる訳じゃねえぞ。 アナスタシアとチャチャゼロが悪ふざけでだな。」

「元々悪ふざけをしたのは貴様だろうが。」

その過程でエヴァがお母さんになってることや超鈴音と葉加瀬がお祖母ちゃんになってることなど聞くとハルナなんかは爆笑していたが、結局は横島とエヴァの悪ふざけだと聞くと若干面白くない少女も居たが何とも言えない表情をしつつも納得するしかなかった。

実際初音と鈴江のAIは茶々丸のAIに横島が手を加えたものなので生みの親と言ってもあながち間違いではない。


「皆さんは何を怒ってるのでしょう?」

「いいこと教えてあげるわ。 ここに居るのはみんな貴女達のお母さんになるわけ。 タマちゃんはお姉さんね。」

「了解しました。 お母さんがいっぱいです。」

「大家族になりました。 お父さん頑張って。」

結果としてエヴァのことをもう少し警戒するべきか美砂なんかは少し悩むが、ここで爆笑していたハルナが少女達の反応に戸惑う初音と鈴江に余計なことを吹き込んで問題を更に複雑化させるともう滅茶苦茶である。


「ちょっとハルナさん!」

「いいじゃないの。 みんなで仲良く家族なんだしさ。」

いつの間にかみんなお母さんにしてしまえというハルナの悪ふざけに円や夏美など横島に友情以上の好意を抱いてない少女は笑っているが、真っ先に反応したのは自分では友情のつもりのあやかであった。

明日菜なんかは呆れているし木乃香は笑って受け流していて夕映とのどかは若干照れるような表情を浮かべつつ困ったような顔をしていたが、真面目な性格でありかつ現在一番微妙な心境のあやかはついついムキになってしまったようである。

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