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二年目の春・6

「こうしてると忙しい日常が嘘のようね。」

そして楽しげに騒ぐ少女達や横島やハニワ兵達の声を聞きながら刀子は微睡むように空と海を眺めていた。

刀子自身はさほど海が好きだという訳ではないが、こうして砂浜でのんびりしていると日頃の疲れが癒されるような気がする。

最近では一段落した超鈴音の問題を筆頭に魔法関係はまだまだ爆弾を抱えているが、ここ異空間アジトに来れば横島の余裕の源泉を実感するので落ち着くということもある。

横島がいかに強かろうと個人の武力による限界があることを刀子は理解しているし、仮に横島が武力にて世界を制圧出来てもそこから先は個人の武力だけではどうしようもないのは大人ならば分かることだ。

ただ横島には個人の武力以上の切り札があるというのは最大の強みだろうと思う。


「うむ、いいだろう。 付き合ってやろう」

そんな刀子の近くではアナスタシアとチャチャゼロが近くにいたハニワ兵達に誘われて朝から酒盛りを始めていて、あやか達が少々苦笑いを浮かべ見ている。

日本人的にな倫理感ではあまり誉められたことではないのだが海外では食事の際に毎回お酒を飲む国もあるし、元々ヨーロッパ人であるエヴァとしてはさほど問題があることではないのだろう。

というか先にハニワ兵達が普通に砂浜で酒盛りをしていたことからも異空間アジトではよくあることなのかもしれない。


「おっきなやまをつくろう!」

「ぽー!」

次にタマモだが横島や少女達と少し海で泳いだ後は、横島宅の二体のハニワ兵達や茶々丸の妹である初音と鈴江にさよと木乃香とのどかなんかを加えたメンバーで砂浜で山を作っていた。

子供用の玩具のシャベルなんかを使って山を作っては棒倒しをしたり、トンネルを掘って海水を流してみたりと楽しげに遊ぶタマモに木乃香達は付き合っていたが童心に帰るという訳ではないのだろうがこれはこれで楽しめてるようである。

会心の出来だと判断すると横島や少女達にアナスタシアなどみんなを呼びに行きみてみてと見せていたのはご愛敬ということなのだろう。


「ねえ、午後はまき絵と亜子にクジラ見せてあげよっか?」

「クジラ?」

「凄いわよ! クジラと同じ形した潜水艦でクジラと一緒に泳ぐんだから!」

「なにそれ!? 行きたい!!」

そのまま午前中はそれぞれ自由な時間を過ごしお昼は近くの海の家で特製焼きそばや魚介の浜焼きなんかを堪能するが、午後にはまき絵と亜子にハニワランドの凄さを見せてやろうと何故か盛り上がり以前にみんなで乗ったクジラ型潜水艇ホエール君三号に乗りに行くことになる。

突然異世界とも言える場所に連れて来た二人は今一つ異空間アジトの凄さを理解してないが、そんな二人に対して分かりやすく理解させるには先日のお花見の時に乗った空飛ぶ列車やホエール君三号なんかの方がいいし何よりクジラの群れの中を泳ぐような光景はここでしか楽しめないとっておきであった。


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