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二年目の春・6

「ここ面白いね!」

「ドラえもんの未来世界みたいだね。」

その後も物件内を見学していくが異空間アジトの最新住宅は一部の少女達にとっては住みたいかどうか以前に、アトラクションのように面白いとの評価が出てしまい横島は苦笑いを浮かべた。

ここに同じくこちらの最新家電を揃えるとまさに夢の未来生活となるのだが、果たして時々来るだけなのにこれだけの設備が必要なのかと言われるとなんとも言えない。


「ここ借りて大丈夫なのですか?」

「まだ募集始まったばっかで決まってないんだとさ。 ここなら建築中の両隣のやつも合わせて借りれるみたいだな。」

ただこの物件は八LDKの豪邸ながら入居者募集が始まったばかりなので両隣合わせて三件借りることが出来るのが何よりの利点になる。

今回初参加のまき絵と亜子に初音と鈴江まで来ていて横島宅のハニワ兵まで合わせると総勢二十六名にもなるので正直一人一部屋で考えると、いっそ一から建てた方がいいのではとハニワ兵に言われる始末だった。

まあエヴァ一家とかタマモは一部屋欲しくないようなので厳密には必要なく、なんとなく一緒に来てる高畑と刹那なんかは自分は場違いかもとちょっと戸惑ってもいたが。


「物件探すより移動式の水空両用の大型クルーザーとか小型の客船でも使った方が早い気がしないでもないな。 前にアナスタシアにやったようなやつあるし。」

「船で寝泊まりするの!?」

「ウチ船酔いするから船はちょっと……。」

そのまま一行はハニワ兵の勧めや横島の提案もあり一から建築することやクルーザーやキャンピングカーのように移動式の住居にするかも含めて話し合うが、人数が増えたせいで簡単に意見が纏まらない。


「敷金礼金ある訳じゃないし、とりあえずここ借りて様子見ることにすれば?」

「欲を言えばもうちょい便利な場所がいいけど。」

「別荘にするなら静かな方いいじゃん。」

結局一般的な物件選びと違い借りることにも引っ越しにも費用がかからないので、逆に選択肢が広がりすぎて決められないというなんとも不思議な状況になってしまう。

他にもいつも泊まるホテルがある街の中心部のマンションを借りることも可能性としてはあり得るのだが、そちらの場合は同じ建物でも階が違う部屋になるなど少し面倒なようだ。


「目の前の海プライベートビーチなんでしょう?」

「プライベートビーチというか島ですからね。 この辺りは周りが畑ですからあまりハニワさんが住んでないので誰も来ないのでプライベートビーチになってるだけのようですね。」

それとここの利点は事実上のプライベートビーチまで徒歩数分と近いので好きなときに海に入れるのも魅力の一つであるし、物件の周囲を小さな集落として開発してる最中なのでゆくゆくは公園や小さな商店なんかも出来るらしい。

今はまだ他の建物が建築中なのでイメージが沸かないがなかなか良さげなところなのは確かだった。


「そう言えばタマモはどうした?」

「タマちゃんならさっき探検に行くってチャチャゼロとハニワさん達連れて飛び出していったわよ。」

みんなでここを借りようかと悩む中、タマモの意見を聞こうとした横島であるがタマモはいつの間にか物件とその周囲の探検に行ったらしく姿が見えない。


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