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二年目の春・6

危うく宮殿の主にされそうだった横島であるが今度はある程度具体的な条件を提示した物件に案内して貰うが、少女達の要望で海が近いことと人数が多いことからそれなりに部屋数が必要となるとやはり宮殿まではいかなくとも豪邸と言える広さか二つか三つの家が必要だった。


「こっちの家ってみんな大きいけど、それでもみんなで一軒だと部屋数足りないわね。」

「でもずっと住む訳じゃないし、そんなに部屋数必要なの?」

「広いとお掃除大変そうです。」

ただ一人一部屋にするか、それとも女子寮のように二人部屋や三人部屋にするかなど意見が分かれることも多い。

あまりワガママを言うのもどうなのと考える少女もいればどうせなら広い方がいいと単純に考える少女もいるし、どんなに来ても月に数回しか来ないのに屋敷の維持管理をどうするのかと心配する少女も居る。


「やっぱり広い方がいいと思うわ。 お父様達が来たら泊まる部屋とかもあった方がいいもの。」

「ああ、そういやそうっすよね。」

ちなみにハルナなんかと一緒に雪広さやかもあまり遠慮をしてなく割と本音の要望を口にしていてやはり少女達を少し驚かせているが、横島にとってはたいした違いがないのを彼女は理解していて後々不便などと問題になるよりは先にきちんとみんなが納得する条件を告げた方がいいと考えてるようだった。

ちなみに彼女に関しては現時点で横島に対して特に強い思い入れがある訳ではないが好印象は持っているし、もしも何のしがらみもなく出会い告白されたら受け入れるか悩むくらいに好意も抱いている。

加えて横島が本音でぶつかる女性を好むのはすでに理解しているので、下手に取り繕ったり遠慮するよりは本音を語るべきだと判断していた。

まあ正直なところ力関係で言えば雪広家より上なのは明らかであるにも関わらず、完全に友好的であり更に雪広家の財産や地位を一切興味もないという他に類を見ない変わり者の横島なだけに余計な駆け引きやら損得勘定を全くしなくていいのは雪広家の娘としても楽であった。


「入居者募集中?」

「最新技術試験中?」

さてそんな一行が次に案内されたのはまだ建築中の建物が多数ある場所にていち早く完成した新築の一軒家になる。

場所は転移場やホテルがある島と同じながら少し街の中心部から離れた農園が広がる地域の海沿いに建築中の小さな集落にあるリゾート風の物件だった。

集落には現在一軒の建物が完成していてあと十軒ほどの建物が建築中のようだ。


「うわ~、豪邸ね!」

集落の入り口には入居者募集中ののぼりと最新技術試験中の看板が目立っている。

建物は南国的な白い外観の二階建てで、庭にはまだ植えたばかりの芝生とヤシなどの南国らしい木にプールまであった。

それは時々テレビで見るような富豪の南国の別荘といった印象であり少女達も思わず喜びの表情を浮かべたほどである。


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