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二年目の春・6

「ぽー?」

その後借りるか借りないかは別にしてとりあえずお昼くらいまでは近場の物件を見てみようということで話は纏まり、不動産の管理をしてるハニワ兵に案内されて近場の空き物件に来ていた。


「これさ、この前修学旅行で見たよ。」

「どうやらこっちで再現した物らしい。」

そこは先程まで横島達が居た島とは違うハワイ諸島の島にある家というか宮殿だった。

具体的には先日少女達が見たイオラニ宮殿というハワイの歴史的宮殿を再現した建物である。

どうもハニワ兵としては横島達が住むなら一番豪華な宮殿だよねと思ったらしく案内したらしいが、横島と大半の少女達はポカーンとしてしまいタマモとまき絵と桜子なんかが嬉しそうに宮殿の敷地内を走り回っていた。


「ぽー?」

「いや狭いなんて言ってないから。 もっと大きな宮殿なんて要らないって。」

ハニワ兵としては自信を持って勧めた宮殿にも関わらず横島達の反応が今一つなことから、もっと大きな宮殿がいいかと真面目に尋ねるが横島は我に帰ると慌てて宮殿は必要ないと告げる。

横島としてはみんなで使える少し大きめな別荘でもあればいいかと思っただけなのだが、この不動産管理をしているハニワ兵は若干天然が入ってるらしく褒めて褒めてと言わんばかりの表情だった。

ちなみにこの異空間アジト版イオラニ宮殿は観光地となってるようで結構多くのハニワ兵達で賑わっていて、当然ながら横島達もまた注目を集めている。

しかもこの宮殿は予約制で一日王さまとして宿泊まで出来ることが大人気のようで、この日も民俗衣装を来た一日王さまのハニワ兵が見えていた。


「それにしても本物そっくりですね。」

「本当だね。」

お目当ての物件ではなかったがタマモがまき絵と桜子と一緒に中も見学したいと他の観光に来たハニワ兵と一緒に中に入ってしまったので残りの横島達も続くが、つい先日修学旅行で見たばかりの歴史的建造物と同じものがあることに少女達は奇妙な感覚を覚える。

もちろん全てが同じとは言えずに一部の物などはまだ新しい感じが残っていたりと違いはあるが。


「あっ、おうさまだ!」

「王さまがビックリしてひっくり返った!?」

そのまま宮殿内を見学していくが一日王さまとの面会と記念撮影が見学のパターンらしく先行しているタマモ達は自分たちも写真を撮ってもらおうと列に並ぶが、王さま役のハニワ兵はまさか人間が来ると思わなかったようで驚きひっくり返っとしまう。

まあハニワ兵達からすると一日王さまよりは横島達の方が珍しいので当然の反応なのだが。


「ここは流石に住むにはちょっとね。」

なお帰り際に本当にここに住まないのと聞いてくるハニワ兵に横島は一応女性陣に確認するも、流石に文化財クラスの宮殿には住みたいとは思わないらしく唯一個人で城持ちのアナスタシアは置いておいて他はやはりもう少し普通の建物がいいという意見で一致した。

なんというかこの調子で世界のお城や宮殿を紹介されるのも悪くはないが、住むには少し不向きだとしみじみと感じるようであった。


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