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二年目の春・6

「はいはい、胸の話はその辺にして。 いい加減移動するわよ。」

まさかのハルナの悪のりで魔法の秘密を明かした一行であるが、異空間アジトも夜なのでいつまでも転移場で騒いでないでホテルに早々に移動することにする。

見慣れぬ街の見慣れぬバスと住人であるハニワ兵にまき絵と亜子はまさに不思議の国に来た子供のようにはしゃいでしまい、他の少女達もつい数ヵ月前の自分達はあんな感じだったんだと少し感慨深げに見つめていた。

ただ大変なのはいつも泊まってるホテルに到着した後だった。


「うーん、複雑だね。」

「ウチは何となく分かるけど。」

まき絵と亜子に魔法関連の常識から始まり横島は魔法関係者の中でも特殊でこの場に居ない人には絶対異空間アジトのことを漏らしてはダメだときつく教えねばならないが、亜子はともかくまき絵は今一つ理解してるのか怪しい。


「バレたらどうなるの?」

「最悪横島さんが麻帆良に居られなくなるですよ。」

ちなみに細かい説明は当然ハルナがするはずもなく彼女は二人に魔法の存在を認めさせたことで満足して出番は終わりだと引っ込んでしまい、ホテルに到着後はあやか・千鶴・夕映・のどかの四人がまき絵と亜子に一から説明をしている。

ただまあハルナが魔法を認識させたことで説明は比較的スムーズに進んだのも確かだろう。


「それ大変なことじゃん!!」

「だから横島さんの秘密は特に誰にも漏らさぬようにして下さい。」

そして一番秘密を隠せるか怪しいまき絵に関してだが、結局は横島の秘密がバレたら麻帆良から居なくなると少し脅すように説明するとようやく事の重大さに気付いたらしく真剣な表情になり話を聞き始めた。

実際にはそこまで深刻ではなく多少の秘密の漏洩程度ならば誤魔化しが可能であるが、ある意味横島への好意を隠す気のないまき絵からしたら世界の危機とか社会の為にと言われるよりよほど効果的である。


「ねえ、実際のとこ豊胸って可能なの?」

「可能か不可能かで言えば可能だな。 一番安全で自然なのは数ヵ月から一年くらいかけてゆっくり大きくすることになるが。 知り合いが研究したらしくってな。 ただ肉体を人為的に変える技術はあんまり外に出していいもんじゃないから量産はしないで終わったらしいけど。」

一方美砂はそれとなくまき絵が騒いでいた豊胸について横島に尋ねていた。

彼女もまた以前から多少興味があったがまき絵ほど露骨に言えずに聞くタイミングがなかったのだが、ちょうどいいからと聞いているところだった。

なお研究していたのはやはり魔鈴で美容関係の魔法薬開発の一貫でついでに研究したらしく系統的には老化防止魔法薬に近いものの、効果を確かな物にするにはより肉体改造に近い技術になってしまったことと魔鈴自身が別に豊胸したいほどの胸のサイズでなかったことから試作品を作って終わった物があるらしい。

ついでに説明すると肉体を改造強化して兵士とするような魔法薬は魔鈴の信念と好みの関係から開発技術はあるにはあるが存在はしない。

老化防止魔法薬や豊胸魔法薬はあくまでも美容魔法薬として開発したもので、下手に流用されぬように効果を落としたりと対策を講じた物になっているのだ。


「みんなくらいの年には必要ないって。 きちんと栄養あるもの食べて身体の成長を促せば十分だな。 まあ肉体を活性化させたり女性ホルモンを活発化させるツボとか刺激すれば多少は変わるし、気とかの使い方を覚えるとか身体の中の力の流れを活発化させても影響があるみたいだけど。 肉体と内気と外気って……こっちの言い方だと気と魔力になるのか、それは密接に関係があるからな。」

そのまま横島は何気なく豊胸に影響があることを語っていいくが、横島としては魔法というか超常的な力と肉体の関係について説明したつもりでも少女達からすると魔法の力の使い方を覚えると胸が大きくなると誤解してしまう。

もちろん横島の語る効果には肉体の遺伝なども関係するので個人差があり、魔鈴がわざわざ魔法薬を開発したのはそんな個人差を無くしないと考えたからだが。

横島の説明不足により何人かの少女の目の色が変わったことに横島は気づかなかった。



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