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真の歴史へ・その二

(いい目だな… あれだけの未来を経験してなお、揺るぎない魂が見える)

ルシオラ達の目を見つめ、ワルキューレはその魂を肌で感じていた


「一つ質問だが。 もし再び同じ未来へ向かったらどうする? 神魔の緊張関係が数千年変わらないのは知っているだろう。 お前達がいかに有能だとしても、たかが数年で何が出来る?」

あれだけの未来を変えるのは簡単ではない

横島達がいかに有能だとしても所詮個人の力だ

世界を滅ぼす力はあっても、救うのは難しいとワルキューレは感じていた


「その件に関しては現在も複数パターンで検証中よ。 元々未来は一つではないわ。 問題はやはりアシュ様と美神親子なの。 美神親子の時間移動は歴史的事実以外は阻止するわ。 あれは本来使ってはいけない力なの。 因果率を狂わせ、時空間を乱れさせる禁断の力なのよ」

話しながらメインモニターに時間移動に関する因果率や時空間に与える影響のデータを映し出すルシオラ

その細かく専門性の高いデータにワルキューレは驚く


正直ワルキューレには半分以上理解出来ないほど細かく難しい

横島や小竜姫やタマモも理解出来ないレベルだし、情報関係が専門のヒャクメとジークでさえ詳しく説明されてやっと理解出来るレベルである


「時間移動に関してはいい。 正直私にはほとんどわからん」

少し困ったように苦笑いを浮かべるワルキューレ

彼女は詳しい内容ではなく、大まかな道筋を知りたいのだ


「簡単に話すと、時間移動とコスモプロセッサーの2つを阻止することが最重要課題よ。 まあ、使われた後の対策も考えてるけど、出来るだけ阻止したいわ。 コスモプロセッサーはまだどうしようも無いけど、歴史的事実以外の時間移動は確実に阻止するつもりよ」

ルシオラがそう話しながら次に出したのは、原始風水盤に関するデータ

「そして現在の一番の問題は原始風水盤よ。 これも世界に与える影響が強すぎるから阻止したいの」

様々な情報を見せてワルキューレに説明したルシオラ、話が原始風水盤になった頃にはすでに数時間が過ぎていた


「うむ、状況はおおむね理解した。 だが、お前1人でこれを纏めたのか?」

感心と呆れが半々な様子のワルキューレ

魔界軍より正確かつ的確な検証とデータを、ルシオラ1人で作ったかと思うと信じられないようであった


「データ収集や提供はヒャクメさんとジークさんにしてもらったわ。 後は土偶羅様と同じ演算兵鬼を使って計算はしてるわよ。 1人でやったら時間がいくらあっても足りないもの」

少し苦笑いを浮かべて否定するルシオラ

さすがに1人でやるのは無理なようだ


「僕達はデータを提供しただけですから、実際ほとんどがルシオラさんの仕事ですよ」

謙遜気味のルシオラだが、ジークは実際一番重要な部分はルシオラにしか出来ないことを知っている


「正直、俺もチンプンカンプンだ。 ルシオラの頭脳に対抗出来る神魔はアシュタロスくらいだろうよ」

一緒に話を聞いても要点を理解するのが精一杯の横島と小竜姫とタマモは苦笑いしかでない


「説明は一通り終わったわ。 後知りたいことはある?」

「いや、もう十分だ。 お前達が私の予想以上に計画的なのもわかった」

再び質問は無いかと聞くルシオラに、ワルキューレはキリッとした表情で答え結論を決めた


「私も協力しよう。 世界は違えど共に戦った戦友に変わりないしな… それに、世界に一泡吹かせるのも悪くない」

ニヤリ、そんな意味深な笑みを浮かべつつワルキューレは決断した
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