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香港編

「横島君どうしたの?」

「どうやら仕事らしい。 明日から何日か休むわ」

一方学校で普通に授業を受けていた横島にも、小竜姫からの依頼を受けた魔鈴から連絡が来ていた。

満月まで後六日だが、小竜姫から依頼が来たと連絡があり横島は少し驚きつつ歴史の流れを考えている。


「仕事ですか?」

「ああ、神父と小竜姫様が来たらしい。 詳しい事情はお前の方が知ってるんじゃないのか?」

魔鈴からの連絡があると横島の表情が僅かに変化したのに気付いたクラスメートやピートは、若干驚きつつもどんな仕事かと話を聞こうとするが横島はピートの方が事情に詳しいのではと告げて丸投げしていた。


「あの件はちょっと……」

横島が説明を丸投げしたことでピートに注目が集まるが、ピートは小竜姫やメドーサ絡みの仕事をクラスメートに言えずに困ってしまう。

小竜姫は特に何も言ってないが、神魔の微妙な問題は一般人に話す内容ではない。

結局ピートは守秘義務があるからと説明して事情を話さずに終わるが、仮に横島ならば更に追求され責められるような言葉もピートならば感心して責められないのだから、横島がピートに丸投げした理由がよくわかる。


「なんからしくないわね。 横島君」

「本当に訳ありって顔してる」

一方横島はピートに丸投げした後は何を話す訳でもなく外を眺めていたが、愛子や一部の女子は横島の微妙な変化に気付いていた。

特に確信がある訳ではないのだろうが、どこか横島の纏う空気が別人のように見えた彼女達の感性も決して間違ってはないだろう。

実際彼女達は良くも悪くも横島を良く見ている。



(直接依頼が来たってことは、風水盤の針はまだ向こうか? それ以前に美神さんが後先考えずに針を奪う可能性は低いか……)

女子達の視線も気付かぬ横島は、外を眺めながらも思考は未来でのこの事件の記憶に戻っていた。

未来では調査は元々雪之丞が請け負った仕事であり、雪之丞の後先考えない行動で針を奪い唐巣や令子は巻き込まれたのだが今回はその可能性は低い。

横島は令子を良く知るから分かるが、そもそも令子ならば後先考えずに針を奪うはずはないのだ。

仮に針を奪ったとしても、令子ならば取り返される前に破壊してしまうだろう。

元始風水盤はあの特殊な針が無ければ意味がないのだから。


(ということは美神さんと小竜姫様は助っ人を集めてるんだろうな。 小竜姫様はともかく美神さんは勝てればそれでいい人だから)

未来と現在を比べて状況を整理する横島だったが、それは限りなく現在の状況をそのまま推測出来ていた。

ただ横島は自分達を呼んだのが小竜姫だと考えているが、実際には令子も横島達を呼んだとは気付いてない。

まあそれだけ魔鈴と令子の関係は壊滅的に悪いのは確かだが、なんだかんだ言っても横島は相変わらず令子を誤解してる部分も多かった。


(ともかくぎりぎりの介入にならなかったのはプラスか)

日々変化する歴史と状況だが、今のところ大きなマイナスになってないことに横島はホッと一息ついていた。



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