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香港編

次の朝、魔鈴事務所に使っている横島のアパートを唐巣と小竜姫が突然訪ねて来ていた。


「あら、唐巣神父に小竜姫様。 何かありましたか?」

何の前触れもなく訪ねて来た二人だったが、魔鈴はこれが何を意味するのか内心では理解しつつ素知らぬフリをして対応する。


「ちょっと困ったことがありまして。 手を貸して頂きたいのです」

訪ねて来た二人を魔鈴はとりあえず事務所に使っているアパートの部屋に通し話を聞くが、小竜姫は少し申し訳なさそうに事情を説明していく


「……メドーサですか」

小竜姫の話はやはり元始風水盤の事件だった。

今度はメドーサが香港で風水師を誘拐して何かを企んでいるらしく、小竜姫はそれを阻止せねばならずに令子に調査を頼んだと説明している。


「非常に危険な仕事なため断ってくれても構いません」

小竜姫は正式な仕事として魔鈴に依頼はするが、受けるか受けないかまで強制するつもりはない。

特に魔鈴は何か訳ありではと考えている小竜姫は、無理強いだけはしたくなかった。


「目的は本格的な調査とメドーサの目的の阻止及びメドーサ達の捕縛です。 無論生死は問いませんが……」

メドーサとは小竜姫自身が戦うからと説明するが、それ以外に魔族が居た場合は対魔族戦になる可能性を小竜姫は示唆している。

特に令子の報告にあった仮面を付けた集団は、メドーサの手下だろうと見ているのだ。

流石にゾンビだとは見抜いてないが、結局仮面の相手が誰であれメドーサが関わる以上は危険な仕事なのは変わらない。


「わかりました。 この依頼お受けします」

そんな小竜姫からの説明が一通り終わると、魔鈴は悩む間もなく依頼を受けると返事をする。

正直何故こんな形になったのか魔鈴は未来との違いに少し驚きもあったが、未来でこの事件に深く関わっていた雪之丞が居ない代わりに令子が調査をした結果だろうとみていた。


(次に再会する時は違う形になるかと思ったのですが……)

一方小竜姫は即決で依頼を受けた魔鈴を静かに見つめている。

GS試験の時に横島と小竜姫は再会の約束をしたが、それはこんな物騒で危険な再会のつもりではなかったのだ。

正直小竜姫は次に横島に会った時は、横島が隠してる何かを話してくれる時だろうと期待もしていたらしい。


(美神さんも相変わらずですしね)

歴史のズレにより元始風水盤の事件に正式な依頼として関わることになった魔鈴達だが、実はそれを求めたのは他ならぬ令子だったりする。

それというのも令子が香港に行って調査をして以来、小竜姫は令子と報告や今後の相談を何度かしており令子の側から助っ人を呼ぶならと指名したのが魔鈴だったのだ。

まあ小竜姫自身も助っ人に頼むなら魔鈴を考慮はしていたのだが、GS試験の後にあれだけ魔鈴に苛立っていた令子がわざわざ魔鈴を指名した事実は小竜姫に少なからず衝撃を与えている。

実際令子としても魔鈴を指名するのは苦渋の決断だったのだろうが、プライドや好き嫌いよりも仕事を冷静に考えた結果だろう。

死津喪比女をバラバラに切り刻んだ魔鈴の魔法ならば、使い方次第ではメドーサに対抗出来ると令子は理解しているようだった。



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