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真の歴史へ・その二

ワルキューレは無表情で横島の言葉を受け止めていた


「私は人も神も嫌いだ。 特に自分達が正義だと思ってる愚か者共はな… お前がそれと違うのは理解している。 だが、結局は力が全てだ。 強くなければ理想もクソも無い。 お前の真の強さ… 見せてみろ!」

瞬時に魔力を高めたワルキューレは、躊躇無く銃で横島の急所を撃っていく


バン!バン!バン!バン!……


横島はワルキューレから視線を離さないように、最低限の動きで精霊石弾をかわしている


(さすがに迷いが無いな。 気を抜けば殺される!)

この時代に来て初めてと言っていい死と隣り合わせの戦いに、横島は躊躇無く霊力を高めた

その力はワルキューレの魔力と同レベルであり、現在の横島のほぼ全力であった


「こっちも行くぞ!!」

高めた霊力で完全に物質化した栄光の手を両手に展開して、横島はワルキューレに接近していく


バン!バン!バン!……


接近する横島に容赦無く精霊石弾を撃ち込むワルキューレ

接近すればするほどかわすのは困難になるのだから


(当たったか!)
 
ワルキューレの放った一発が確実に横島の腹部に当たったかに見えた

かわすのも防ぐのも不可能だろう

ワルキューレは油断無く追撃するが、当たったのを確信していた


「消えただとっ!?」

その瞬間、横島はワルキューレの視界から突然消える


(クッ… 文珠を使ったか!)

ワルキューレでも文珠の予測は難しい

最大限に警戒をしてワルキューレは横島を探す


「こっちだ!」

突然後ろに横島が現れ、そのままワルキューレを殴りつけた

バキッ!!


ワルキューレはとっさに防御するが、ダメージは避けられず距離を開ける


「うっ… 今のは…、超加速か!」

腹部を押さえながら、ワルキューレは先ほどの横島が消えた原因を考えていた


「ああ、小竜姫直伝の超加速だ。 俺と小竜姫は超加速の実戦での霊力効率を散々修行した。 今なら超加速では誰にも負けないよ」

話しながらも横島は一歩一歩ワルキューレに近寄っていく


「クッ… 実戦経験はこちらが上のはずだ!」

口ではキツい言葉がでているが、ワルキューレは横島の強さを肌で感じており、その強さに思わず表情が緩む

ワルキューレの心の奥にある魔族としての本能が喜びを感じ始めていたのだ


(強い… 軍人の私が戦いに喜びを感じるほどに…)


魔族にも様々な個性がある

横島の周りで最も魔族としての本能を持つのはワルキューレだ

しかし軍人として生きる彼女には、それ以上に冷静で強い理性を持っていた


そのワルキューレの本能が、横島の強さに惹かれるように騒いでいるのだ


「銃はつまらんな…」

ワルキューレはゾクゾクするような本能を抑えつつ、銃を捨てて接近戦に持っていく


ドーン!!

バキッ! ドガッ!!……


魔力と霊力が籠もった拳がぶつかり合い、付近には2人の戦いの衝撃が響き渡っていく


そのまま接近戦で戦いを続ける横島とワルキューレ

2人はあちこち傷つきながらも戦いを辞めない

ワルキューレは最早横島の力を見極めるより、戦いを楽しんでいるようにも見える
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