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麻帆良祭への道

「超包子も可愛い子が多いしな~ 誘ってくれればよかったのに」

残念そうな超に対して素直に横島もまた残念そうである

やはり行動原理の大部分が女の子な点は昔と変わらないらしい


「貴方なら確実にモテるヨ。 今からでも一緒にやる気はないか? 超包子が貴方のハーレムになるネ」

残念そうな横島の反応に超はすかさず冗談のような甘い言葉で誘っていくが、横島は冗談として返して終わってしまう

まあ横島としては魅力的な提案なのは事実だが、超に深入りすると危険なのは確かなのだ

別に超が嫌いなタイプではないのだが、横島の霊感が過剰に関わるなと告げてるようであった


「出来たぞ。 味見してくれ」

話をしながらも調理をしていた横島はさっそく麻婆豆腐を完成させるが、結果は言わずとも分かるだろう


(世界は広いネ。 彼のような人が何の野心も持たずに居るとは思わなかったヨ)

横島の麻婆豆腐を味見する超だったが、一度で完璧に再現された味に思わず寒気がするような気がした

超自身は決して歴史の全てを知ってる訳ではないが、それでも超は出来る限りの歴史を調べて来たのだ

裏にも表にも名前すらなかった横島のような人間が、何の野心も持たずに一市民として生きてることに超は言葉に出来ない不安を感じてならない


「中華もお上手なんですね」

「君達よりちょっと長生きしてるからな。 多少経験があるだけだよ」

しばし無言になる超と正反対に五月は単純に横島を褒めるが、超包子の料理自体はそれほど珍しい訳ではない

横島は多少経験があると言葉を濁して笑ってごまかす

その後は超と五月が作る番になるが、こちらも横島が重要なポイントでアドバイスすると上手く作ってしまう

流石に横島ほど完璧ではないが、何回か作っていけばマスター出来そうである


(この先の歴史にあの人がどう絡むのか気になるネ。 もしかすれば歴史の記録が役に立たなくなる可能性が……)

その日の話し合いも終わりみんなで寮に戻った超だったが、やはり言葉に出来ない不安に悩まされていた

まあ横島一人居たところで歴史の大きな流れは変わらないと理解しつつも、何か得体の知れない不安が込み上げてくるのだ

やがてネギが教師として麻帆良に来た時、明日菜や木乃香に近い横島が歴史にどう絡むのかと考えるとやはり不安になる

歴史を知るという超にとって最大のアドバンテージが危うくなる事態だけは出来る限り避けたいのが本音だった


しかし超は知らなかった

この世界が彼女の歴史と似て非なる世界であることを……

結局彼女は歴史の結果を知るだけであり、その時代に生きた人間の心の中まで知ってる訳ではないのだ

歴史が変わった理由が横島なのか超なのかそれとも別の何かなのかは誰にも分からないが、この世界において超が待ち望む未来が来ないことを彼女はまだ知らない

ネギ・スプリングフィールドが教師になる未来がすでに消えていると彼女が知るのは、もう少し先である


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