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二年目の春・5

「学園長先生もあの一件には随分ショックだったようでね。 あれ以来メガロメセンブリアの活動に参加するのを許可制にしてるんだよ。 最近だとメガロメセンブリア関係の活動に参加したのは僕の他に数人しか居なくて、他はメガロメセンブリアとは関係ない関東魔法協会と友好団体のみでの活動にシフトしているしね。」

恐らく明石教授は娘には魔法協会に関わらせることなく普通に生きてほしいと願ってると思われるが真相は不明で、明石裕子達の一件以降は麻帆良におけるメガロメセンブリア融和派はその数をガクンと減らし現在では親メガロの魔法協会と細々と平和的な交流する程度になっていた。

近右衛門達幹部も個人での活動とはいえあまりの結果にそれ以降はメガロメセンブリアの活動に参加する人を制限して、代わりに自分達でNGOを作り同様の活動を安全にやることに心掛けている。


「また、メガロっすか。」

一方横島は明石教授の話を淡々と聞いていたが、やがて来る魔法世界の危機や明日菜の状況などと同じくまたメガロメセンブリアが原因だと聞くと心底うんざりした表情をした。

現実問題として土偶羅ですら手を出したくないと言うほどの魔法世界は蠱毒のようにしか思えなくなって来ている。

地球側も決して人のことは言えぬし内情は似たり寄ったりでもあるが、横島にとって魔法世界は所詮は縁もゆかりもない余所の世界なので興味がなく冷たい。

加えて横島は世のため人のためなんて活動も生理的に合わないというかあまり好きではない。

関東魔法協会を始めとする反メガロの魔法協会もメガロメセンブリアの地球における影響力を薄める為にも相対的に海外でのボランティア活動なんかには力を入れているが、横島はその辺りにはノータッチで関わりたいとは全く思ってなかった。

高畑と横島の決定的な違いはある意味ここにあり横島は必要以上に他所に首を突っ込むのをあまり好まず、自分のテリトリーとも言える周囲の人達以上には関わる気はないのだ。

ちなみに横島のこの辺りの価値観は美神事務所時代に培われたものだと言えて唐巣のように徹底的に人助けをしてもキリがないと割り切った結果でもあるし、横島自身の過去でも馬鹿にされたり人類の裏切り者扱いされはしても手を差し伸べ信じてくれたのがごく身近な存在しか居ないという過去も無関係ではない。


「それはともかくとして佐々木さん達のことは様子を見て時期を決めるってことでいいかしら?」

「そうっすね。 俺の方でも頭に入れておきますよ。」

メガロメセンブリアにはもううんざりだと言いたげな横島に高畑も言葉が続かずしばし無言になると、刀子はその話をアッサリとスルーして当初の話であるまき絵と亜子の今後の話に戻していた。

刀子としては横島以上に魔法世界に興味も関わる気もないので本当にドライであるし、近右衛門達も含めた周囲の大人達は横島が魔法世界に関わるのはどちらかと言えば反対なのであまりこの話はしたくないとの本音もある。

横島の魔法世界への関与に関しては魔法世界を救いたい高畑でさえ、横島と少女達の平穏な生活が犠牲になる可能性を考えて慎重なほどなのだ。

というか魔法世界の崩壊自体は横島に救えても、危機を放置した魔法世界の国々やアリカに有らぬ罪を着せたメガロメセンブリアが得をするだけではその後が困るのは高畑にも明らかだった。

現状ではまき絵と亜子の扱いの方が重要であり、これ以上秘密を明かさねばならない人を増やさないようにしなければと一応横島も考えてはいる。

まあ横島はいろいろと価値観が人とはズレているのでどこまで理解しているかは不明だが。

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