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二年目の春・5

さて週末の横島の店であるが店内は相変わらず女子中高生で賑わっていた。

テストが近いからか店内ではテスト勉強する様子もちらほらと見られるものの、この日は日頃勉強を教えている横島が居ないので居合わせた常連の先輩が教える形になっている。

横島が店を始めて一年が過ぎてこの一年で常連の女子中高生達も驚くほど増えているが、学校のクラスやサークルのように店の常連という繋がりから友人に発展した少女達も最近は増えて来ていた。

横島が居なくても勉強で分からないところを気軽に聞けたりするし、一緒にばか騒ぎをしたりもする。

それが一つの新たなコミュニティになりつつあるのは二年目の特徴なのかもしれない。


「木乃香、サンドイッチ二人前ね。」

「了解や。」

そんな店だが厨房は木乃香一人で調理をしていてフロアは明日菜とさよとタマモが居る。

明日菜達は料理が得意ではないのでほぼフロアで接客やら飲み物を入れたりしているが、状況に応じて木乃香の手伝いはしていた。

だが横島の代わりを勤められるのは未だ木乃香一人であり、横島が抜けること自体滅多にないことだが今までに横島が抜けた店で苦情を言われたことは一度もない。

まあお客さんの回転率はお世辞にもいいとは言えず中には飲み物しか頼まない客も結構居るので、横島と比べて調理が早くない木乃香でもお昼時の混雑さえ除けば十分であるのだが。


「ねえ、マスターは?」

「ごめんね。 今日は納涼祭の会議に行ってて。お昼には戻ってくるらしいわ。」

ただ土日は結構横島に会いに来る少女達が多く、その目的は地味に当たると評判が続いている占いと恋愛や人生相談である。

平日よりは土日の方が明日菜達が居て店に余裕があるので占いや相談事がある少女はたいがい土日に来るのだが、横島が居ないと知るとガッカリする者も居た。

占いに関しては的中率も確かに評判だが相手が女の子だと無駄なほど親身になって話を聞くので、占いよりも人生相談になりつつある少女が意外に多いのが現状だ。

教師や親には相談出来ないことでも横島ならと思わせるのは持ち前の面倒見の良さと、麻帆良に来て以降モテてるので女の子にがっつかなくなったからだろう。


「タマちゃん~、遊びに来たよ。」

ちなみにそんな横島よりも人気なのはやはり傾国の幼女タマモであり、何処かに出掛けるついでにタマモに会いに来る女子中高生なんかも時々いる。

年配者はお駄賃だと小銭をあげたりするが女子中高生なんかは安いお菓子やタマモが好きそうな小物なんかをあげたりしていて、代わりという訳ではないがタマモを抱き上げて抱っこするのが何故か流行っていた。

もう店の雰囲気は完全に学校の放課後だが気にする者は来ないので、それが当たり前となっている。

そしてお昼の少し前になりアナスタシアと名乗っている大人バージョンのエヴァが店に来ると、朝から待ち構えていた年配者達に捕まるという光景も最近はすっかり慣れていてこれまた店の名物となりつつあった。


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