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二年目の春・5

「魔法世界の現状は私の予測より悪いネ。 正直直接関わってない魔法世界がこれほど歴史と違う流れになったのは予測出来なかったヨ。」

同じ頃高畑は超鈴音と葉加瀬と学校の生徒指導室で話をしていたが、表向きは謹慎明けに向けた生徒指導をしてることにしているものの内容は魔法世界のことに関する意見交換であった。

高畑としては二十年前の件はもちろんのこと魔法世界の根本的な問題から、この二十年の高畑や赤き翼の活動についても全てではないが大まかに話をしている。

何より二人にはきちんと話をして議論を交わすことが最も必要だと高畑は判断しているらしい。


「全て君のせいだとは思ってないよ。 そもそもここが本当に君の世界の過去かは議論の余地があるしね。 時間移動による世界への影響は君も分からないんだろう? 歴史を変えても君自身は元より君の未来から持ち込んだ資料も変わらないと考えると、ここが過去ではない可能性と歴史が変われば別の未来が産み出されるだけの可能性も十分ある。 そもそも世界が一つだなんて証明されてない訳だし。」

そんな超鈴音であるが本人が気になるのはやはり魔法世界の行く末であり、この世界の魔法世界を取り巻く状況が超鈴音の歴史より良くないことを気にしていた。

特にクルトの現状と秘密結社の存在が露見したことは歴史の流れに大きな影響が出ると見ていて、超自身も何故これほど自身が関わってない魔法世界が変わったのかと首を傾げている。

ただ高畑としては魔法世界の変化の原因は概ね知っているがそれは教えることが出来ぬものの、超に対して世界と未来が一つではないことは可能性としてきちんと理解して欲しいと思っていた。


「何をしても私の世界の過去は変わらないということカ?」

「判断する材料が少なすぎて確定は出来ないけどね。 そもそも君の歴史ではこれからの先の鍵を握る存在であるネギ君は現在は魔法世界で家族と幸せに暮らしているよ。 家族で畑を作っていて収穫が楽しみだと手紙を貰ったしね。」

そんな超だが自身も実のところ高畑の語る可能性が現状では高いことはすでに理解していて、超が詳しく知ることが出来なかったネギの魔法世界へ行ってからの様子を聞くと何とも言えない表情で話を聞いている。

現在ネギは畑を作る以外にも釣りや狩猟など日々の生活の為に生きていて、あれだけ求めていた父親のことも表向きではあるが口にすることすらしていない。

本心ではどうだか知らないが祖父とネカネとアーニャとの四人で助け合って生きていることで、少なくとも今を生きることに幸せを感じて始めているらしいことは確かなようなのだ。


「完全なる世界のテロも現状では夏には起こしようがないだろう。 鍵を握る者が居なくては彼らとしては世界の再構築は出来ないからね。」

「明日菜サンが連中に見つかる可能性は低いカ。 そろそろ歴史が参考資料にもならなくなるネ。」

「僕達は少なくとも成人までは本人には話すつもりはないし、もしかしたら話さないかもしれない。 ああ、一応言っておくけど明日菜君のことや地下のアレの封印のことを外部に漏らすのは止めてくれよ。 僕でも庇いきれなくなるし、僕自身も明日菜君のことはどんなことをしても守る気でいるから。」

そして話はこの夏に起こる可能性があった完全なる世界のテロにも及ぶが、すでに彼らのテロの芽は摘まれていて現状では同じテロは起こしようがなかった。

何より魔法世界の本来の継承者である明日菜が歴史の表舞台に出ない限りは、超鈴音の歴史と同じく魔法世界が滅びる可能性が高い。

唯一の懸念はやはり超と葉加瀬であり、高畑は二人が迂闊なことをしないようにとしっかりと言い聞かせるつもりである。


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