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二年目の春・5

さて超鈴音の去就の話に驚いた木乃香達だが、ここ最近少し困っているのはまき絵と亜子がほぼ毎日夕食に来ていて魔法の練習を食後の閉店した店で時々やっていたのが出来なくなったことだろう。

加えて女子寮で刹那を指導者として行っている勉強会と称する魔法の練習にも顔を出し始めたことで元々少ない魔法の練習時間が取れなくなっている。


「うむ、この二人がのう。」

そんなまき絵達のことは刀子を通して近右衛門にも報告されていて、一応二人に魔法の情報開示することを検討する前段階としてや家族の身辺調査を行ったが特に問題はなかった。


「横島君は相変わらずですが、お嬢様達は判断に迷ってるようで。」

完全に横島と木乃香達の仲間に入りたがっている二人に対し横島は近右衛門達が良ければ秘密を教えてもいいのではと相変わらず軽い調子で、少女達も今更二人を拒否することは出来ないので仕方ないかという流れになりつつある。

刀子としては現状以上に人が増えると秘密の保持が難しくなるのではとの懸念は抱いていたが、情報管理において土偶羅の右に出る者が居ないのも理解しているので後は近右衛門達次第であった。


「横島君は女性を集めるフェロモンでも出とるのかのう。 正直羨ましいわい。」

「フェロモンというか人の心に入り込むことに関しては天性のものがあるかと。 しかも彼の場合は一緒にいるタマモちゃんまでもが同じく人の心に入り込むのが上手いですし。 そんな二人一緒に居れば自然に人が集まりますよ。」

まき絵達の件は横島もまき絵達も少女達も誰も非がなく仕方ないとしか言えないのが結果であるが、結論を言えば横島の周りには人が集まり騒動が起きるのは最早どうしようもないと近右衛門も匙を投げ出したくなっている。

ただ刀子は横島は横島なりに自重してるのも理解しているのでもう仕方ないと割り切っていたが。


「エヴァの変わりようもあるし悪いことではないのが救いか。 もしかすると横島君の存在はいつまでも隠しておけんのかもしれんな。 出来ればもう少し確かな繋がりが欲しいとこじゃが。」

結局近右衛門はまき絵達のことは最早なるようになるのを待つしかないと考え、魔法の情報開示の許可は出そうと決める。

不安がないと言えば嘘になるがここで下手な禍根を作ったり波風を周りから立てるのはどう考えても得策ではなく、横島と少女達に任せた方が上手くいくだろうと考えたらしい。

実際エヴァとの関係は近右衛門が予想も出来なかったほど改善して上手くいっている。

木乃香の誕生会にまで参加するとは一年前ならば信じられなかっただろうと思うのだ。

しかも超鈴音の一件もエヴァの変化が抑止力として大きな効果を発揮したし、高畑を変えたのも横島やタマモを中心とした少女達なのだから外野がとやかく言うのは悪手にしか思えないらしい。

願わくば少女達との繋がりがもう少し確実なものになって欲しいとは思うが中学生の少女達を思うと現状以上を期待するのは酷である。


「上手くやると思いますよ。 少なくともちょっとやそっとで壊れる関係ではないですから。」

そして悩む近右衛門の姿に刀子は少し申し訳なさげな笑みを浮かべるも、彼女自身は横島と少女達の内側の人間だけに横島や少女達を信じていた。

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