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香港編

さてこの頃のカオスはマリアの強化を急ピッチで進めていた

次の大きな事件である元始風水盤の事件までには、なんとかマリアの強化を済ませたいのだ

元始風水盤の事件の相手はメドーサと勘九朗とゾンビ達だが、戦力比を計算するとどうしてもマリアが居ないと厳しいのである

不確定要素が強い小竜姫の存在を抜いて考えると、メドーサの相手は文珠を秘匿した横島一人では荷が重く確実性を考えるなら魔鈴と二人がかりで対応しなければならない

残るは勘九朗とゾンビ達だが、雪之丞では勘九朗に単独では勝てる可能性は高くないしゾンビ達が混じると未来と同じようにピートや令子が居てようやく勝てるくらいなのだ

確実性を考えるとどうしてもマリアの力が必要だった


「霊力と電力の相互変換システムが間に合ったか。 これでマリアも霊力が使える」

そんな訳で強化されたマリアだが、対魔戦闘において最大の欠点だった霊力がないという問題はすでに未来で解決済みである

かつてアシュタロス戦において美神美智恵が空母の電力を霊力に変換して戦ったが、基礎理論はあれと同じでより簡素化や進化させた電力と霊力の相互変換システムを未来で実用化していた

日常生活においては大地や自然の霊力を吸収し電力化して活動して、戦闘時には電力を霊力化すれば一時期には下級神魔を越える霊力で攻撃が可能なのだ

このシステムによりマリアは活動時間が飛躍的に伸びたばかりか、戦闘時の攻撃力も飛躍的に伸びている

なおこのシステムにはもう一つの特徴があり、それは文珠を非常用のエネルギーとして用いることが可能な設計なのだ

緊急時には文珠をエネルギーとしてマリアが活動出来るのだが、これは未来において使い道がほとんどなかった文珠を試しに電池の代わりにした物だった

エネルギー効率の点でいえば文珠は電池の比ではなく相当効率がいい

まあ横島達にしか使えない贅沢なシステムだが、おおっぴらに文珠を使えない現状ではかなり有効なシステムである


「武装までは間に合わんのが残念じゃのう」

そんな訳で基本システムは強化が間に合ったマリアだが、武装の強化までは現状では手が付けられてなかった

いかにカオスとはいえ時間と資金が現状ではまだまだ足りなく、早々次から次へと開発出来るものではない

そもそも未来においてはカオスもマリアもさほど戦闘などしない平和な生活だったし、マリアの武装の強化は一部では実用化していたがほとんどは計画の段階であり実用化してなかったのだ

まあ未来ではカオスもルシオラの復活を優先しており、必要性があまり高くなかったマリアの武装は後回しにされていたのだった


「最悪、雪之丞と二人で勘九朗とゾンビを相手にするしかないか……」

元始風水盤の事件を考えるカオスだが、最悪の場合は自分達だけで戦うことだと考えていた

そもそもこの時代は元始風水盤の事件に雪之丞が関わっておらずこの先が不確定なのだ

関わるか関わらないか分からないピートや不確定要素の強い令子は、正直計算に入れないで考えてるらしい



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