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麻帆良祭への道

「マスターって本当に女好きなの? いざとなったら奥手よね」

その後も賑やかな料理教室は続くが、客が来た為に横島がフロアに行くと美砂は以前から感じている疑問を口にする

日頃気軽に誰にでも声をかけるのに、いざ女性がその気になるとはぐらかしてしまうような態度が気になるようだ


「なんか過去にあったみたいよ。 美人にトラウマみたいなのあるみたいだし……」

「悪い女の人に騙されたみたいなんや」

美砂の疑問に明日菜と木乃香は以前の勘違いをそのまま教えていた

どうやらまだ誤解が解けてないらしい


「そうなんだ…… あのマスターなら有り得そう」

「人が良すぎるのよね。 ろくに知らない頃に一緒にカラオケに行ったら私達の分まで奢ってくれたもの」

明日菜と木乃香の話に美砂と円は、横島が騙された光景が目に浮かぶような気がした

本当はちょっとした見栄とサービス精神から奢っただけなのだが、彼女達にはお人よしに見えるらしい


「かわいそう」

「ほんまや」

一方横島をよく知らないまき絵と亜子は、明日菜と木乃香の話に単純に横島がかわいそうになり涙まで浮かべている

とくにまき絵は物事をあまり深く考えない為にそのまま素直に受け止めたようだ


「確かに騙されやすい人には見えますが、本当にただ騙されたんでしょうか? 意外と抜け目のない人ですし、騙されてると分かっていて騙されたんじゃないでしょうか?」

そして静かに話を聞いていた夕映は、横島が騙されたのに気付いていながらも好きだったからわざと騙されたのではと推測する

見た目の軽さとは裏腹に優秀で意外と抜け目がないだけに、騙されたのに気付いていたのではと思うのだ


「それは考え過ぎじゃない?」

「私は有り得そうな気もするな~」

夕映の間違った推測に美砂はさすがにそれはないと告げるが、桜子は有り得るのではと言う

結局彼女達は誤解から更なる誤解を生んでいくことになる



「おまたせ。 ってなんかあったのか?」

接客を終えて厨房に戻って来た横島は、微妙な空気に気付き首を傾げてしまう

ついさっきまでは楽しそうにおしゃべりをしながら料理をしていただけに、何故突然微妙な空気になったのか不思議で仕方ないようだ

その気になれば離れた場所の内緒話でも簡単に聞ける能力がある横島だが、流石に彼女達のおしゃべりまでは聞いてなかったらしい


「なっなんでもないのよ。 ねえ、みんな」

明らかに何かを隠してますといった表情の明日菜がごまかす姿に横島はやはり何の事か分からないのだが、女の子同士の話でもしていたのだろうとそれ以上聞くのを止めてしまう

結局誤解は更に広がっていく

その後木乃香達のみならず美砂達やまき絵達や千鶴まで突然優しくなってしまい横島は違和感を感じるが、結局理由を聞くに聞けずにこの日は終わることになる


「マスター、寂しくなったら連絡してね」

「困ったらいつでも相談に乗りますから」

帰り際、妙な事を言って帰る美砂達や何故か心配したような千鶴に横島はやはり不思議そうにするが理由が浮かばない

どうやら横島は先日の誤解の件だと全く気付いてないようだった


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