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二年目の春・5

「それでは麻帆良祭の出し物は飲食関係でよろしいですか?」

そしてこの日のホームルームでは麻帆良祭の出し物について話し合いが行われ、以前から話し合いが続いていた雪広グループとの共同出店を正式に決定していた。


「断るって選択肢はないよね。」

「うんうん。 雪広グループと超包子とマスターが居れば今年も楽勝だよ!」

昨年の麻帆良祭の出し物での総合一位の価値は重く、3ーAの出し物は中等部ながら早くも今年の麻帆良祭の注目イベントの一つに数えられている。

鳴滝姉妹や美空なんかはすでに成功間違いないと楽観的な意見を口にしているほどだが、あやか達はそう簡単ではないとため息をこぼす。

ただ現実問題として飲食関係を外すかと言われるとこれまた難しいところで、昨年の成績に加え超と五月と木乃香という昨年の料理大会のチャンプがいることや横島を最大限に生かすには料理が一番だというのが現実だった。

加えてタマモもみんなと飲食店の出し物をやりたいと張り切っていることも大きく、木乃香達や美砂達にあやか達が飲食関係でいきたいと言う以上はわざわざ反対するような意見がある人間は居ない。


「やっぱマスターの存在は大きいよね。 いろいろ騒ぎになり始めたの麻帆良祭からだもんね。」

そしていつの間にかクラスの中心的なグループになりつつある木乃香達だが、美砂達と今年も始まるんだなとしみじみと話し込んでいる。

思えば自分達の立場や環境が大きく変わったのは昨年の麻帆良祭がきっかけだと言えて少し感慨深いものもあるし、まさか一年後の自分達がこんな注目されるとは夢にも思わなかった。

正直今年は出来ればあまり騒ぎにはならないで欲しいという思いもあるが、横島は自ら騒ぎを起こさなくても巻き込まれることも多いのでどうなるか分からない。

ただ今年の麻帆良祭では横島は昨年よりは忙しく3ーAのクラスの出し物の他にも、麻帆良カレーと納涼祭の方にも最低限一度は顔を出さねばならないので夕映達に予定を押さえられている。

麻帆良カレーは一年でかなり知名度が上がり名実共に麻帆良の新ご当地グルメとしての地位を不動のものとしていたのでイベントと屋台を出す予定があるし、納涼祭も麻帆良祭にてPR活動をする予定として計画が進んでいた。

それと麻帆良学園支援企業のパーティもありそちらにも参加させたいと周囲は考えているので、横島の麻帆良祭の予定は本人の知らぬ間に埋まりつつある。


「木乃香なら荒稼ぎ出来たんだからやれば良かったのに。」

「うちゲストとか審査員とか言われても困るわ~。」

なお少女達の中で横島に次いで麻帆良祭での依頼が舞い込んでいたのは木乃香で、イベントのゲストから大小様々な大会の審査員など依頼が幾つも来たが適当な理由で全て断っていた。

料理大会での知名度に加えて学園長の孫という立場に見た目の可愛らしさもあるとなればイベントの華としては最適で引く手数多だったが、木乃香自身がさほどお金にも名声にも興味がないことと横島も断っているんだし自分も断っていいよねと全て断っている。

正直軽く挨拶して後は座ってるだけでいいからと一件数万円の報酬を提示されていたので、美砂達なんかは少し羨ましがっていたが。

ただ木乃香の場合は下手にこの手の依頼を一度でも受けると近右衛門や両親絡みのしがらが後々発生しかねないので慎重だった。


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