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二年目の春・5

「いただきまーす!」

女性の買い物は長いというがそれは少女達も同じだったようで、ほとんど物を買ってないにも関わらず夕食を食べる頃には完全に日が暮れていた。


「お肉♪お肉♪お肉♪」

「おなかすいた。」

そんなこの日の夕食は焼肉である。

基本的に何でも作る横島であるが匂いが残る料理は作らないことが多く、焼肉などはその代表であり必然的に横島達の外食で一番多いのは焼肉になるのだ。

流石に焼肉の匂いが残る喫茶店にはしたくないらしい。


「いつもこんなお店で外食してるん?」

「外食はそれほど多くありませんよ。 まあ時々はしますが。」

人数も人数なので買い物をしてる間に店を予約したのだが横島はこの世界の東京は詳しくないのであやかに任せた結果、必然的に高級焼肉を個室で予約していたらしくまき絵と亜子は珍しく雰囲気に飲まれたようである。

他の少女達はいい加減慣れていたが、まあ中学生が保護者以外と来るような店ではないのだから当然かもしれない。


「もしかして寿司が良かったか?」

「そやなくて、お金大丈夫なん?」

横島は真っ先にビールを頼みエヴァと刀子とついでにチャチャゼロと一緒に飲み始めていたが、チャチャゼロは一応認識阻害の魔法をエヴァが使っていた。

少女達は当然ノンアルコールのジュースであるがグビグビと喉を鳴らしジョッキのビールを半分ほど飲む横島を見ながらもメニューの値段に驚いた亜子は普通に支払いの心配をする。


「遠慮しないで好きなだけ食え。 金なんてある奴が払えばいいんだよ。」

「私達も結構慣れちゃったのよね。 ほんとはいけないんだけど。」

横島の秘密を知ればあまり気にする必要はないのだと少女達は理解するも、それでも抵抗感がある少女は居て明日菜なんかは横島に最も親しい一人だが未だにいいのかと迷う時があるらしい。

ただまあ横島は昔からお金がある令子なんかとの外食では遠慮したことがないので、今はその立場が逆になったくらいにしか考えてない。

加えて世界の終焉を体験したからか、お金への執着はほとんどないのでやはり少女達にちょっといい格好出来れば満足であった。


「未成年が遠慮するな。 俺なんか学生時代は遠慮したことないぞ。」

「それはどうかと……。」

しかし基本的に自分を基準に物事を考える横島の言い分に少女達は思わず苦笑いを浮かべずには居られなかった。

よく言えば豪快だとも言えなくもないが横島は豪快というタイプではなくいい加減なだけなのは親しい女性陣ならば理解している。

だが横島自身が少女達を連れて外食をするのを楽しみにしてるのは本当であり、横島が楽しんでるならいいかと慣らされて来ているのが少女達の現状であった。

まき絵はあまり深く考えないのでマスターありがとう!と素直に喜ぶ辺り、横島が気に入るタイプで彼女の新体操を指導してるのなんかも案外そんなまき絵の性格が根底にある。

一方の少女達は常識人の亜子が戸惑うのを見て自分達は横島に毒されてるなと思いつつも、だからと言って今更自分達の関係を変える気まではない。

特にここ数日のまき絵を見てると感じるが横島は基本的に素直に甘えたり気持ちをぶつけるのに弱いのだ。

下手に自分達と横島との関係をなどと難しく考えると冗談ではなく本当に横から持っていかれるのではとの危機感が一部の少女にはあった。

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