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二年目の春・5

「次はパンダ見に行こ!」

「ぱんだだ! ぱんだ!」

そのまま一行は動物を見て歩くが、タマモはいつも以上に元気いっぱいであった。

身長的に見えにくいところもあるので横島が肩車していたりするのだが、気分は本当に休日のお父さんといったところだ。


「おいおい、そんなに急がんでもパンダは逃げんぞ。」

幼いタマモはもちろんながら桜子やまき絵もタマモと同じようにテンション高く動物園を楽しんでいて、横島は振り回されている。

かつては有り余る煩悩や生命力で周りを振り回していた横島もそれなりに大人になると若い少女達には敵わないのかもしれない。


「あとまき絵ちゃんは彼氏でもない男に抱き付いたらあかん。」

「なんで私だけダメなの!? 」

次はパンダを見に行こうとゆっくり園内を歩く一行だが、横島は肩車していたタマモを下ろすとついでにさっきから度々抱きつくまき絵に一言注意をする。

桜子とか美砂とか日頃から横島に抱きつく少女達には何度も言ってることだが、恋人でもないのに女性が抱きつくのはダメだというのが横島の価値観なのだ。

だが同じことをしているのに自分だけ注意されたまき絵はあからさまな不満顔で横島に言い返す。


「いや桜子ちゃんにはいつも言ってるから。 ただ全く聞いてくれんが。」

横島としてはまき絵の為にと言ったのだが同じことをしている桜子に言わなかったのは少々まずかった。

もちろん桜子には何度も言ってることであるが、流石に横島もいい加減慣れて来ていて桜子は言っても聞かないと理解している。

加えて裸で露天風呂に突入して来る桜子なだけに日頃抱きつくくらいならば構わないかとの気持ちもない訳ではない。

そもそも桜子は横島以外には抱きつかないのを横島も理解しているので、儀礼的に言うことはあっても桜子が離れない以上は引き剥がすようなことをすることはなかった。


「いいか、男なんて単純だし特に十代の頃なんて発情期みたいなもんだからな。 安易に抱きつくと勘違いされるぞ。」

「うーん。 つまりマスターがエッチな気分になったの?」

「違うわ!! 人聞きのわるいこと言うんじゃねえ!」

桜子な些か計算してる節もあるがまき絵は百パーセント天真爛漫というか純粋なだけに横島は心配して注意をしたのだが、何をどう考えたのかまき絵は爆弾発言とも言える答えにたどり着きそれを告げると周囲の少女達が爆笑する。

ある意味横島の言葉を自分に都合よく受け止めた結果なのだろうが、そこまではっきり言ったのは流石に美砂もしたことがない。


「マスター奥手だもんね。」

「奥手って言うか……。」

なんというかまき絵が子供っぽいと言われる理由が分かった気がする女性陣であるが、あまりに純粋というか単純なまき絵に思わず笑わずに居られなかったようであった。

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