このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

新しき絆

魔神大戦から数ヶ月…

横島は奇跡的に高校3年に進級していた

最早、あの大戦の話をする人は誰も居ない

美神除霊事務所は、あの戦いが無かったような日々が過ぎている


事務所には横島が助けた妖狐のタマモ、人狼のシロが加わり賑やかな毎日だった


横島自身も決して人にはあの戦いの事を話さない


人前では前のように、馬鹿でスケベでお調子者の横島だった


美神令子や氷室キヌは、そんな横島を見て安心していた

横島は立ち直って、自分達の元に帰ってきたのだと……


その他の仲間達は、横島を気遣いつつも何も言わない

軽々しく口にしても彼を傷つけるだけだと思って…


しかし……


横島の中では何も終わってない…


家に一人で居れば、普段とは正反対の暗い瞳で、自分を責め続けている

そしてあの戦いを自分なりに考え続けた

令子やおキヌに相談しなかったのは、心配かけたくないとの理由もあったが…


最早横島にとっては、彼女達が信頼出来る仲間ではなくなっていたからだ
 
横島はあの戦いの中や、戦いが終わって令子が言った言葉に幻滅していた

「アシュタロスの手先で終わる一生を正しいことに使ったのよ!」

そうこの言葉が横島の心に深く傷を残した

何が正しい…

何が間違っている…

正しいとは人間から見て…

いや、美神さん自身から見てだろう


魔族の彼女が、自らの創造主を裏切ったのは正しいと言えるのか?


俺とルシオラの愛は本物だった

そしてルシオラは俺の為に、命をかけて助けてくれた


令子の言葉はそんな、横島とルシオラの気持ちを踏みにじる言葉な気がした


そして、戦いが終わって話したもう一つの言葉

「これで、ハッピーエンドってことにしない?」

その言葉がまた横島を傷つけていた


確かに子供としてでも転生出来るのは嬉しい

そして希望だ

だが…


あの戦いでルシオラを犠牲にして助かった令子が

全てを終わらせようと話したその言葉は許せなかった


無論横島は、ルシオラを失ったのを令子のせいにはしてはいない

一番悪いのは、ロクに修行もしない力不足な自分がルシオラを犠牲にしてしまったのは、よく理解していた…


だが…

無神経な令子

そして全てが終わって、美智恵が過去に帰った後

妊娠した姿で笑顔で現れた美神美智恵

彼女達は許せなかった


美智恵は知っていたはずだ…

美智恵ならルシオラを助けれる可能性があったはず…


令子の為に時間移動までして、全ての人と神魔を騙した美智恵なら…


だが、彼女は何もしなかった

全てが終わったら笑顔で親子の再開をしていた



世界かルシオラか…

アシュタロスがあの時、横島に求めた選択は…

本来は違ったはずだった

世界か令子か…

その選択のはずだった

アシュタロスが令子に気がつく前に、令子か世界かを選んでいれば…


それなのに美智恵によって、令子ではなくルシオラに変えられてしまった

世界の生け贄が…



横島は、自分とルシオラ自分の本当の敵はアシュタロスではなく

美神親子では…

そう考える時もあった…



そんな横島が何故、道化の真似をして美神の事務所に居るのかと言えば…
シロとタマモの存在だった

まだ子供の二人を令子に託すのは、あまりに不安だった

あの親子ならまた自分達に危機があれば、二人を犠牲にして助かろうとするだろう…


特にタマモが問題だった

タマモ自身は横島をあまり好きではないようだ

当然だろう

馬鹿でスケベで情けない横島しか知らないのだから…


そんなタマモだが正体がバレたら、また国や人間から狙われるだろう


横島は美神事務所を離れる前に、二人の安全を確保しなければならなかった


横島はシロとタマモの二人は嫌いでは無かった

彼女達は何も知らない

そしてあの戦いとは関係ない

そんな二人には幸せになって欲しかった…
1/100ページ
スキ