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香港編

「えっと……実際どうなの?」

「普通の人だと気持ちの分は礼金を払うよ。 基本的には神父は受け取らんが、常識があれば形を変えて品物でお礼したりはする。 ただ神父の依頼人は本当の貧乏人も多いからな」

無料で信頼出来る唐巣に惹かれる相談者だが、そもそも本当に無料でいいのかは当然疑問に感じる

唐巣は基本的には現金を受け取らないので、依頼人の多くは商品券や食品を贈ることが多い

ただ唐巣の場合はこの貰った物をまた困ってる人に譲ったりするので、本人が空腹で倒れるのだが……


「うちの事務所だとこのまま他に問題がなけりゃ、全部込みで二万ってとこか。 調査と除霊とアフターケア込みだから高くはないはずだよ」

一般的なGSだと五~六万の料金だが、一応横島の知り合いということでまけて二万という料金だった

正直相場の半額以下になるため、あまり他言して欲しくない金額である


「不安ならGS協会に相談してみるといいぞ。 簡単な見積もりなら無料で出してくれるからな」

結局横島は一通り説明を終えるとその日は帰ることになるが、愛子やクラスメートの女子は横島が本当にGSとしてやってるのだと改めて実感していた

テレビでは時々GSの密着番組などが入るが、そんなテレビ番組でもやらないような地味な相談にGSも結構大変なのだと始めて知る



そして三日後、魔鈴事務所には相談者から正式に依頼として仕事が舞い込んでいた

相談者は家族で話し合いをして横島が言ったようにGS協会に簡単な見積もりを出してもらうこともしたらしく、結局は知人価格の横島達に頼むことにしたらしい

正直信頼度と知名度から唐巣に頼むのも考えたらしいが、相談者の一家はさほど日々の生活に困ってる訳ではないので頼みにくかった

どちらにしろ唐巣にも礼金を払うならば横島の側に頼んだのと出費は変わらないくらいは必要だし、ならば正式に料金を払った方が気が楽だったのが決め手になったようだ

ちなみに魔鈴事務所にとってこの依頼は、始めて直接来た依頼だったりする

今までGS協会斡旋の依頼を熟していただけに、魔鈴は始めて直接依頼が来たことが素直に喜んでいた


「掃除ですか?」

依頼が来た日に魔鈴はさっそく相談者の家に出向き調査や除霊方法の説明して正式な見積もり書と契約書を用意するが、除霊後のアフターケアに掃除が入ってることに依頼人の母親は驚き困惑する


「GS協会の見積もり時に説明を受けたと思いますが、現場の部屋は少し陰気が溜まっています。 これは直接人体に悪影響はないのですが、悪霊を呼び込む一つの原因になってます。 それの解決に私は掃除を用いるんです」

魔鈴は慣れた様子で困惑する依頼人に説明するが、これは割とよくあることだった

通常は陰気払いのお札や術を使い陰気を払うが、魔鈴は掃除で陰気を払うため困惑する客が多いのだ


「陰気払いのお札は少し高いのですが、私の方法ならばアフターケアの範囲で出来ますから」

多少戸惑う依頼人だったがGSならば失敗するレベルの霊障でないことは確認済みであり、結局魔鈴のやり方に任せることにする

それに陰気払いについてはGS協会の見積もり時に説明を受けたが、普通に頼めば除霊とは別に数万はお札代がかかるのは聞いていた

それをアフターケアとして無料でやってくれると言うのを断る理由はなかった



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