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二年目の春・4

その後騒いでいた少女達が全員眠りに着いたのは日付が変わる頃だった。

日頃から早寝早起きのタマモは同じく早寝早起きの明日菜とさよに挟まれ一足先に眠りに着いていたが。


「やっぱ寝れん時はこれだよな。」

そんな少女達が眠りに着いた丑三つ時、横島はなんとなく寝れなかったらしく一人露天風呂に入り冷や酒を飲んでいた。

時間的にハニワ兵達もみんな就寝してるらしく露天風呂は足元を照らす灯りすらないが、源泉掛け流しらしく露天風呂だけは入れるようである。

あいにくとこの夜は新月に近く月明かりはあまり期待出来なく、微かな月や星の光がうっすらと世界を照らしてるようだった。


「すっかり酒飲みになっちまったな。」

温かい露天風呂のお湯に入りながら冷たい冷酒が喉を通る心地よさに少し酔いしれる横島であるが、ふとかつて酒好きだった人達を思い出してしまう。

自身がお酒を飲むようになりかつては理解出来ない部分もあった、大樹や令子が浴びるように酒を飲んでいたのを懐かしく感じる。

横島の場合はすでに人間ではないからか今のところ軽いほろ酔い以上にはなったことはないが、一度くらいはかつての令子のように飲んでみたいとも思う。


「私も一杯貰おうか。」

「どわっ!? 気配消して近付くなよ! びっくりするじゃねえか!」

吹き抜ける風とそんな風で揺れる自然の音を肴に飲む横島であるが、突然背後から声を掛けられて吹き出しそうになるほど驚いてしまった。

いかに今の横島が高く多彩な能力があるとはいえ危険なんて無縁な異空間アジトに居てまで周囲に気を配る訳もなく、ましてみんな寝ていたことは確かだったので完全に気を抜いた結果エヴァに気付けなかったらしい。


「まっ前! 前くらい隠せって。」

日頃は何かと驚かされている横島の驚いた様子にエヴァは満足そうな表情を浮かべつつ、露天風呂に入るとお盆の上に乗せていた冷酒を手に取り返事を待たずに飲み出す。

今日は朝から本来の姿だったエヴァだが何故か今は大人バージョンに変わっていて、タオル一枚持たずに堂々と隣に入るものだから逆に横島が慌ててしまう。

確かに露天風呂は暗いがなにもしなくても横島には普通に見えるくらいであり、幻術の類いだと理解してもついつい見てしまい動揺してしまったようである。


「貴様もガキだな。 その気になれば金も権力も女もいくらでも手に入れられる癖に。」

「アホか! そんなこと出来んわ!」

やはり横島のウイークポイントは女だと半ば呆れるエヴァであるが、端から見るとあまりに女に弱い横島に周りが騒ぐのも無理はないとも理解はしていた。

現状ですら多くの少女や女性を惹き付けているだから本人が自覚したら、それこそエヴァは知らないが横島の父大樹のようにすらなれるだろう。

逆説的かもしれないが、もしかするとそこまで突き抜けた方が周りの少女達は横島の女癖の悪さに悩みながらも横島の母である百合子のように深い絆で結ばれ今よりは安心するのかもしれないが。


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