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二年目の春・4

「枕投げしよ!」

「貴女達! 宿の人に迷惑になるから止めなさ……?」

あまり集中しきれない魔法の練習はタマモが睡魔にうとうとし始めると終わり、宿のハニワ兵達が布団を敷き始めると桜子が枕投げをしようと言い出しあやかが即止めようとした。

しかしそんなあやかの至極真っ当な意見は自分達も枕投げに参加しよう喜んでいる宿のハニワ兵達の姿により尻すぼみになってしまう。

えっ!?やらないの?とでも言いたげに見つめるハニワ兵達に流石のあやかも言葉が続かなかったらしい。


「わーい、まくらなげだ! ……でもまくらなげってなに?」

桜子とハニワ兵達がやる気になったからか枕が飛び始め枕投げが始まるが、唯一事態を理解してなかったというか枕投げを知らなかったタマモは楽しそうだと喜び睡魔を吹き飛ばしつつも枕投げが何なのかと首を傾げる。


「みんなで枕を投げて雪合戦みたいに遊ぶんだよ。」

「ふむふむ、わたしもやるー!」

飛び始めた枕を避けながら横島の説明を聞いたタマモは瞳を輝かせて自分も混ぜてと少女達の輪の中に突入していく。

流石に高畑や刀子や刹那やエヴァなんかは参加してなかったが、チャチャゼロはちゃっかり参加してタマモと枕の投げ合いをするも一応手加減はしてるらしい。


「全くもう……。」

「いいじゃないっすか。 子供のうちにばか騒ぎするくらいは……。」

「子供じゃなーい!」

肝心の横島は最初は止めていたあやかまでも参戦した枕投げを刀子と共に眺めていて困ったような呆れたような刀子を宥めていたが、迂闊な言葉が気に触ったのか枕が複数飛んで来て横島に直撃する。

相変わらず何かあると子供扱いする横島の言動は本人が思う以上に注目を集めているようだった。


「クククッ、仕方ない。 大人の力をみせてやろう。」

「結局横島君も何処か子供なのよね。」

それは横島を枕投げに参戦させるきっかけとなってしまい、横島は自信ありげに枕投げに参加するも少女達から集中攻撃を浴びてしまう。

避けることも受けることもしない横島だが手加減してるとはいえ反撃はしており、完全に自分が楽しんでる姿に刀子は根本的に横島も子供なんだと改めて理解する。


「おっ!? 白だ!」

「うふふ、男性に下着を見られるなんて、責任取って頂こうかしら?」

ちなみに一見すると参加しそうなタイプには見えないさやかも普通に参加していたが、飛んで来た枕が彼女の浴衣を少しはだけさせると目の前に居た横島には純白の下着が見えてしまう。

実は他の少女達も時折下着が見えたりしているが、やはり高校三年のさやかは横島にとって他の少女達とは一味違う存在であり思わず声に出してしまうもさやかはサッと浴衣を直しつつ横島をからかうような言葉を口にした。


「マスターのエッチ!」

「なんというか本音は分からないけど意外に悪くない反応ね。」

結果的にどっかのラブコメのようなやり取りをした横島には少女達から嫉妬の籠った枕が飛んでくるが、ハルナは一人さやかの反応から横島への感情というか好感度を探るも流石のラブ臭探知機ハルナも一癖も二癖もある財界の人間を相手にしているさやかの本音は分からないらしい。
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