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二年目の春・4

「ねえねえ、お風呂行こ。 お風呂。 ここお花見出来る露天風呂あるんだよ!」

それからはしばらく宴会のような騒ぎが続くも、流石にお腹もいっぱいになり疲れた頃になると全体として少しテンションが落ちる。

だがタマモや桜子などの一部の少女は未だに元気一杯で、桜子はここの桜公園の目玉の一つである大露天風呂に行こうと騒ぎ出す。


「ほう、露天風呂か。」

「うん! 広い露天風呂からの桜がまた綺麗なんだって!」

少女達は桜子の言葉に桜祭りのパンフレットをみると確かに大露天風呂が書かれているも、それはよくある温泉のような露天風呂ではなく千人風呂というか万人風呂というような広さになる。

実は冬季間は雪見風呂になるこの大露天風呂だが何よりの違いは基本的にハニワ兵が使うことを前提にしているので、現在は混浴な上露天風呂を隠すような仕切りや自然がないことだろう。

一応男女別の脱衣場はあるし必要に応じて男女の仕切りを設けれるような造りにはしたが、ハニワ兵達には必要ないので花見公園にそのまま岩で出来た露天風呂があるままになっていた。


「うむ、散歩がてら行くか。」

「マスターも一緒に行こう!」

「露天風呂か。 って混浴じゃねえか! 行けるか!!」

なお桜子の誘いに最初に乗り気になったのはエヴァであり桜が見れる露天風呂が気になるらしいが、横島は露天風呂もいいなと見ていたが現在混浴ですと枠外に小さく書かれた文字を見つけると残念そうに拒否する。

もちろん横島は倫理感から言ってるのではなく年頃の女の子や刀子のような女性と混浴なんて経験がないので、どうしていいか分からないだけでありヘタレただけである。


「桜子さんは本気なのですね。」

「流石にちょっと恥ずかしいです。」

ちなみに他の女性陣の反応もほとんどが本当に混浴するのかと戸惑っていて、強いてあげるとすれば全く気にしない素振りを見せてるのは腹芸が出来るエヴァくらいか。

日頃横島に積極的な美砂でさえ躊躇する中で本気なのは桜子とタマモのみであり、夕映やのどかはある意味桜子の性格が羨ましく感じるほどだ。


「うーん、水着着れば大丈夫かしら。」

「えー! お風呂で水着着るのヤダ!」

「俺は高畑先生と待ってるからみんなでゆっくり入ってこいよ。」

桜子とタマモが横島に引っ付き一緒に行こうと駄々をこねると友人の円は折衷案として水着ならみんなで入れるのではと提案するが、桜子は嫌だと言ってしまい横島はたまらず高畑と留守番すると告げる。

結局は紆余曲折の末に不満そうな桜子は美砂と円に引きずられタマモは明日菜と木乃香になだめられながら、女性陣がみんなで露天風呂に行く姿を横島は若干苦笑いで見ていた高畑と見送ることになるが心中はちょっぴり複雑だった。

昔の自分なら血の涙を流して喜ぶような桜子の誘いであるが、実際問題としてリアルに誘われると困るんだなと今更ながらに思う。


「……高畑先生、こういう場合どうしたらいいんっすかね?」

「それ僕に聞くのかい?」

何故か付近のハニワ兵達もかなり着いて行ったので横島と高畑のところは一気に静かになるも、横島はつい高畑にどうしたらいいのかと尋ねてしまい高畑を本気で困らせる。

人格者故に横島がモテることに嫉妬などしてない高畑であるが、元々高畑もまともな恋愛経験なんてほぼないので答えられるはずがないしそもそも高畑は横島が何を考えてるかすら理解できない。

ある意味恋愛に関してポンコツな二人は静かに桜を見ながら酒を飲むしか出来なかった。



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