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白き狼と白き狐と横島

話は戻って、魔鈴に断られた西条は困惑を隠せない様子である

シロとタマモが子供だからと言われたが、西条としては見た目から子供と判断していいのか微妙な年齢だと思う

それに加え美神事務所では二人共に除霊に参加していた事から、何故今更そんな事を言うのか理解出来ない


「魔鈴君、この事件がどれだけ被害者を出してるかわかってるだろう? 誰かが解決しなければダメなんだ! それには二人の力が……」

納得がいかないまま魔鈴の説得に入る西条の言葉は、店の入口が開く音で止まってしまう


「ただいま、出前の器の回収終わりました」

すでに閉店した店内に入った横島は最初は笑顔だったが、西条の姿を見ると無視するように厨房に入っていく

そんな横島の帰宅により、店内の空気は一気に冷たく緊張感に包まれる


「横島君、少しいいか?」

無視する横島を呼び止めたのは意外にも西条だった

魔鈴の様子からして横島を説得する事が必要だと判断したようだ


「実はオカルトGメンは現在連続殺人事件の心霊捜査を行っている。 その捜査には是非シロ君とタマモ君の力が必要なんだ。 協力してくれないか?」

無表情で話を聞く横島に、西条は魔鈴の時と同じように事件に対する協力を求める


(西条先輩!?)

先日GS試験の時にあれほど険悪になったにも関わらず、全く気にした様子もない西条に魔鈴は驚き言葉が出ない

元々横島と西条の関係は常にいがみ合いや喧嘩が絶えないため西条にしては普通の対応なのだが、魔鈴や裏で話を聞いていたタマモ達は信じられない対応だった


「アイツ馬鹿なのか?」

話を聞いている雪之丞は思わず呆れてしまう

令子と横島の決別に関して不仲が原因なのは、業界ではある程度知られている

それに美智恵が裏で妨害やら工作をしていたのは、卒業パーティーに来た仲間達はみんな知っているのだ

美智恵に一番近い存在の西条が、平然と協力を求めるのはあまりにも馬鹿げた行為だと思う


「まさか、西条さんは何も知らないのか?」

雪之丞の隣ではピートが首を捻っている

馬鹿げた行為と言えば一言で終わりだが、ピートは西条がそこまで馬鹿には思えない

そんなピートは、西条が何も知らないのではないかと考えていた


「どうかしらね。 仮に知らなかったとしても、美神美智恵にそれを利用された可能性もあるわ。 全くの無関係な行動だと見る訳にはいかないわね」

西条がどこまで真実を知ってるかはどうでもいいと、タマモは考えていた

オカルトGメンの仕事や西条の行動は、美智恵の思惑により簡単に変わる

何を意図したのかは不明だが、全く無関係な西条の意思だと見るにはあまりに不自然な依頼だった



「帰れ。 オカルトGメンに協力する事は二度とない。 ましてシロとタマモを人間の道具にする事は絶対に許さない」

無表情で聞いていた横島だが、西条の口からシロとタマモの二人の名前が出ると表情が一変する

険しく睨むその表情は、かつての横島の表情とはまるで違っていた


「なっ……!? 僕がいつ二人を道具にしたと言うんだ!! こうして君にも筋は通してるし、本人達の意見も尊重して報酬も決めるつもりだ。 君がいくら僕を嫌いだからとはいえ、言っていいことと悪いことはあるぞ!!」

横島の言葉に苛立った西条は、怒鳴るように反論する

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