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二年目の春・4

「あれ、それって……。」

飲み物で乾杯して重箱の料理に舌鼓を打つ少女達だが木乃香とのどかは弁当とは別に持ってきた小型のバーベキューセットを用意していた。

お肉でも焼くのかと周りの少女達は楽しみな様子で見守っているが、出てきたのは大量の松茸なのでエヴァとチャチャゼロとタマモ以外の少女達と刀子と高畑は一瞬何それと言わんばかりに空気が止まる。

ちなみに茶々丸だけは料理の美味しさに夢中になっていて気付いてないが。


「ああ、松茸か。 こっちだとそんなに貴重品じゃないんだよな。 自然は多いしハニワ兵達がたくさん取ってくるからさ。」

「ぽー。」

そんな驚く一同に横島が異空間アジトの松茸事情を語るとドジなハニワ兵もそうだと言わんばかりに頷く。

もちろん香りや歯ごたえの良さからそれなりに人気はあり需要もあるが現代日本ほど騒ぐことはないらしい。


「焼き松茸とお吸い物にしたんよ。 今から準備するから 待っててな。」

「桜を見ながら松茸が食べれるなんて贅沢ですわ。」

「香りがいいわ。」

横島とハニワ兵の少し冷めたような反応に少女達は信じられないと言いつつ、木乃香はお吸い物と焼き松茸の準備を始める。

お吸い物の出汁は今朝ホテルの厨房を借りてお弁当を作った時に一緒に取ったらしく、ここでは松茸などを入れて仕上げるようだ。

周りでお花見をしてるハニワ兵達なんかは人間は本当に松茸が貴重品なんだなとでも言いたげに見ているが、彼らも過去の世界の情報や麻帆良がある世界の情報なんかは得ているので人間が松茸に高いお金を払うのは知っているがそこまで興奮するものなのかと少し不思議な心境の者が多いのかもしれない。


「そうか、前に持ってきた大量の松茸はここのか。」

「前に?」

松茸が出てきたことで少女達はテンションも高くご機嫌な様子だったが、ここで少し意味ありげな笑みを浮かべたエヴァがちょっとした爆弾を投下すると和やかな空気が止まるとまでは言わないが流れが微妙に変わる。


「ああ、売るんじゃないしいいかなって。」

「はい、ストップ。 今の話だとエヴァちゃんは前に松茸をマスターから貰って食べたって聞こえるけど。」

横島はエヴァの表情に気付くもその意図するところは気付かぬまま以前エヴァの別荘で松茸パーティをした時の松茸の出所を暴露するも、何故かニヤニヤとしたハルナがわざわざ横島とエヴァのを止めて事実確認というか聴取をするように追求した。


「ああ、そうだが。」

「へー、そう。 マスター。 私達には食べさせてくれなかったのにエヴァちゃんには食べさせたんだぁ。」

焼き松茸のいい香りが辺りに漂う中、恐らく確信犯であろうエヴァとハルナはわざわざ問題があると言わんばかりの態度で話して少女達の微妙に面白くないと言いたげな視線が横島に集まる。

まあ横島が以前からエヴァと親しいのは周知の事実だが、こっそりと松茸をごちそうしていたとなると少しばかりひっかかるものがある少女もいた。

というかエヴァはあえて爆弾を投下して面白半分で見ているしハルナはそこに更に燃料を加えて煽っているのだが。


「いや、エヴァちゃんは魔法知ってたしさ。」

「松茸と魔法に何の関係が?」

もちろん厳密に言えば横島が誰と親しくしても文句を言える立場の者は居なく、松茸はないが木乃香達や美砂達もあれこれとご馳走になってるので立場はそう変わらないはずだが隠されていたことが面白くないのは残ってしまう。

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